『不滅のあなたへ』マンガでしか味わえない感情があるのかもしれない
『不滅のあなたへ』という作品を最近読み始めたのですが、おもしろくて一気読みしてしまいました。
この作品を読み終わった時、「マンガでしか味わえない感情があるんじゃないか? しかもその感情は、人生を豊かにしてくれるのでは?」ということを想いました。
そんな感想を抱く経緯と作品の魅力を、ご紹介していきます。
『不滅のあなたへ』はどんな作品?
謎の”球”が地球に表れます。
この球はコピー能力を有しており、目の前の生物をコピーします。オオカミや少年をコピーしていくことで、球は外見や意識を獲得していきました。
次第に人間性を得た球は「フシ」と呼ばれるようになり、世界をさまよいます。数百年にわたる旅の中で、多様な人間と出会い、自らの価値観を培っていきました。
人生は儚い。けれど愛おしい。
この作品の特徴は時間軸の長さです。「フシ」は不死身ということもあって、時間があっという間に経過します。
いっきに40年進んでしまうこともありました。
普段私たちは、数日単位、長くても2~3年単位の時間軸でしか物事を考ないと思うのです。数百年の物語を描くこの作品を読んでいると、私たちの時間感覚はグイっと広げられます。
数百年の時間軸で見れば、人の人生なんてあっという間です。先ほどまで元気にしていた人物が、数ページ先では寿命を迎えているんです。
人の人生は儚い。なんだか寂しくなります。
そうかと思ったら、今度は人の人生を丁寧に描きます。
1人の人生にフォーカスして、成長する様子を細かく描きます。
読者の視野は一気に狭くなります。キャラクターに愛おしさを感じて「このキャラだけは死なないでくれ!」気付けばそう願っています。
ミクロとマクロの物語を同時に体験させられた私は、人の一生に対して儚さと愛おしさを抱くようになっていました。
人の人生は儚い。けれど愛おしい。そう思うと、なんだか心の奥底がキュッと締め付けられます。この作品を読んでいるとき、ずっとそんな感情を抱いていました。
見えてくる景色が変わる
こんなことを感じられる瞬間って、日常生活ではあまりありません。
数百年の物語を描いた本作だからこそ、味わえた感情なんだと思います。しかも、この感情を抱くことで、日常がちょっと豊かになった気がします。
おおげさな表現かもしれませんか、日常の感じ方が変わりました。私たちの愛おしい人生もきっとあっという間に終わってしまう。そう思うと、日常が貴重な時間に感じられるのです。
マンガでしか味わえない感情がきっとある
最近「マンガの魅力ってなんだろう?」と考えるのですが、このあたりに魅力の1つがある気がしています。
日常ではめったに味わえない感情が、マンガでなら味わえる。そして、その感情はきっと私たちの日常を豊かにしてくれる。
たぶん私は、そんな感情に出会える瞬間を求めて今日もマンガを読んでいるんだと思います。
『不滅のあなたへ』を読めば、日常では味わえない感情に出会えると思います。ぜひ読んでみてください。
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