![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41901621/rectangle_large_type_2_ff662b365a0ecd556f026559575562a7.png?width=1200)
『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』の原作イジりの面白さについて
『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』(以下、『犯人たちの事件簿』)が大好きでして、初めて読んだときは声を出して笑いました。
この作品は、金田一シリーズを犯人目線で描き直したスピンオフ作品なのですが、とにかく原作をイジります。こんなに原作をいじって怒られないの?とヒヤヒヤするぐらいに金田一シリーズをイジり倒すところがこの作品の魅力です。
設定をイジる
特徴的なイジりをしたのが2巻の「悲恋湖(ひれんこ)伝説殺人事件」でした。
この事件は、過去に恋人を殺害された男性の復讐劇です。恋人を殺害した犯人は逮捕されておらず、犯人の手がかりはイニシャルが「S・K」ということだけ。
男性は、事件現場にいたイニシャルS・Kの人物9名をとある場所に呼び出し、全員を殺害していきます。
この事件、冷静に考えるとムチャクチャな設定です。ただ、当時の金田一読者はみんな「今回の事件はそうきたか」と普通に受け入れていたはずです。
本作はそんな「現実世界」と「金田一の世界」のギャップを徹底的にイジります。
どうイジるかというと、事件の犯人を「S・K」に取りつかれた人物として描いてしまうのです。
犯人は「S・K」が大好き。セリフでとにかく「S・K」を多用します。
「S・K」という設定をこれでもかとイジるのです。
原作の設定をイジって、イジって、イジり倒すことで、笑いを生み出します。
表紙でもイジる
『犯人たちの事件簿』の表紙はこちらです。
最初に読んだ時は、「なんで原作に忠実な表紙にしたんだろう?」って思いました。
「表紙でもその面白さを前面に出せばいいのに。この表紙では作品の面白さが伝わらないんじゃないか?」と。
ただ、読んでいくうちに思い直しました。この表紙がすでに原作をイジっている気がしてきたのです。
あえて表紙を原作忠実に描くことで、イジりの前フリをしているように思うのです。
表紙の前フリ
(以下のセリフは妄想です。)
作者「金田一シリーズを犯人目線で描いた作品ができました!」
表紙「原作に忠実です!」(キリッ)
作者「表紙で分かる通り、真面目に描きました。真面目に描いたら、なぜだかこうなりました。」
作者「ふざけてません!金田一ファンの方々怒らないでください!原作そのままに犯人目線で描きました!」
表紙「原作に忠実です!」(キリッ)
作者「そしたら不思議とこうなったんです。」
(セリフはあくまで妄想です)
表紙で原作そのまま感を醸し出すことで、中身のイジりがより際立っているように思えます。
そう考えると、この表紙もなんだか笑えてきませんか?
原作イジりに徹底的にこだわることで、類を見ない笑いを生み出している『犯人たちの事件簿』。原作を読んでいなくても楽しめる内容ですので、笑えるマンガをお探しの方はぜひ読んでみてください。
他の記事もよかったらどうぞ
『犯人たちの事件簿』に関しては、他にもマンガサイト「アル」でこんな記事を書いています。
よかったら読んでみてください!