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わたしの十年に一度の本:50代編

子どものいる女の人は30代、40代は比較的忙しいんだと思う。何歳で子どもを授かったか、何人子どもがいるかによって違いは出てくるだろうけど、30代は子どもの世話に時間を取られ、40代になると手間はかからなくなるけど学費の足しにするため仕事をフルタイムに切り替える人が多いんじゃないだろうか。そんなこんなで忙しい時期でもなんとか時間を作って本を手にしていた。

50代になると時間と心に余裕が出きて、怒涛のように本をむさぼり読んだ。booklogに登録したりfacebookの読書のサークルに入ったことで、それまで読んだことのないいろいろな本に出合えた。その中で一冊を選ぶとするなら…恩田陸の『光の帝国』になる。booklogをず~~っと眺めてみると50代に最も熱中した作家は恩田陸しかない…と思える。実は『光の帝国』は50歳になる数か月前に読んでいたのだが、この本を手始めに恩田陸にはまったので、ちょっとだけフライング。

この作家の作品はジャンル分けが難しく、ミステリーともホラーともSFともファンタジーとも取ることができるが、私は恩田陸の本領はファンタジーだと思っている。『光の帝国』もSF色が濃いけれど、どこかノスタルジックで、それでいて背筋がひんやりするような緊張感がある。

『光の帝国』の続編の『蒲公英草紙』はさらにノスタルジックな古き良き日本を思わせ、『六番目の小夜子』はぞくぞくと面白くて何回も読み返した。『三月は深き紅の淵を』は、物語が入れ子式になっていて、内側のと外側のストーリーは異なるのにテイストはみごとに一致している。これはもはや職人技!

Booklogの作家別の登録数はダントツ一位で、恩田さんの本はほとんど読んだのですが…直木賞を取られて『蜜蜂と遠雷』がブレイクしたら、何故か冷めてしまった。ハルキさんのノルウェーの森と同様の現象、要するに私ってひねくれているの。でも、嫌いになったわけではなく、それほど熱中しなくなっただけです。

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