50歳を目前に、昔の日記を開いてしまった件④
そうやって、クリスマスイブに出会った私達は、数日後のアイツの誕生日にすぐに再会できて、私の電話番号も渡せて、私たちの距離はさらにグンと縮まった。
でも、アイツは一応彼女がいる。
そして、アイツの話を聞いてるとホント、根っからの遊び人だとさらに確信した。
だけど、もう気持ちは止まらない。
だけど、別にアイツの彼女になりたいとは思わなかった。
日記には、彼女にはなりたくないけど、ずっと友達でいたい。
ずっとそばにいたい。と何回も書いている。
友達とは言っても私は完全にアイツに恋をしている。
昭和最後の年末はそうやってドキドキの電話で長話で胸がときめき、アイツと話してない時も、心臓ドキドキ!
いてもたってもいられず、眠れず、食欲も落ちて、まさに恋に落ちている状態。
ヘッドホンでその頃流行っていた久保田利伸の曲を聴いて、ますます切なくなっていた(らしい。日記より)。
昭和の最後の元旦に、友達と初詣に行く約束があったので出かける準備をしていたらアイツから電話があった。
暇だから遊びたいらしく、アシもあるとのこと。
私を迎えに来て、アイツの家で遊ぼうと目論んでいたらしい。
アシ!? アシですか!
アイツのアシはバイクのこととすぐ分かった。
それまで2回のパーティーで、でかいバイクを持っていることは知っていたけど、早速、乗せてもらえるチャンス到来!! わーい!!!
こんなチャンス逃す訳なく、友達には事情を話して初詣はキャンセルし、アイツと遊ぶことにした。
アイツのバイクは忘れもしない、ホンダVFR400という、なんとも低音の響く、スンゴクいい音のバイクだった。
もう一度言うけど、アイツはヤンキーではなかったよ💡私もね💡
当時、新車のように思えたけど、最近、そのバイクは当時68万円だったとネットで知り、16歳の少年が一体どうやって手に入れたんだ?と今さら謎に思える。
その時は値段や新車かどうかなんか興味もなくて、ただ後ろに乗せてもらって音にシビレてた。
待ち合わせの時間にたった2分遅れで、家の近くまでバイクで来てくれて、ヘルメットを渡され、初めてアイツの家に行った。
アイツのヘルメットに映る自分の後ろに広がる風景と、時々、ヘルメットをくっつけて、二人で話をする動作がなんとも言えずいい感じで心くすぐられた。
通り過ぎるお店のショーウインドウに映る、アイツと私の姿をチェックしては、この光景を忘れないように心にシカと焼き付けた。
そうやって、日記によると正月早々、アイツの家へ行って、また二人でふざけたり、冗談で首を絞められたり、顔を近づけて話し込んだりしたよう。
男の子の家に一人で遊びに行くのも初めて。
好きな男の子と顔を近づけて話したのも初めて。
それでも落ち着いてまったりと二人でいい時間を過ごした様子。
別れ際、「これからも、また電話かけていい?」と言われてさらに天に登ってた。
でも、本当にまた電話がかかってくるか不安だったので、また会えるように、その頃ハマってた山下久美子のアルバム”POP”のカセットテープをわざとアイツの部屋に置いてきた。(続く)