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50歳を目前に、昔の日記を開いてしまった件②

アイツと出会ったのは32年前。高2、17歳のクリスマスイブ。

ゲッ!32年?!と、改めて数字を見るとビックリするほど遠い過去なのに、日記に浸ると、まるで今その時をもう一度体験しているような気持ちになれて全然古さを感じさせない。それなのに、そんなに時が経ってしまったのかと唖然としてしまう。

当時、日本では既にクリスマスイブは恋人と過ごす時間という慣習があったけど、彼氏がいない私は予定もなく、私のことを好きだと公言していたクラスメイトのC君が、イブの夜に、別のクラスメイトのT君の家で、合計10人ほどの男子と女子が集まってクリスマスパーティーをするからと私を誘ってくれた。

私とアイツの出会いの曲はまさにこれ。

クラスメイトのC君は学校でいつも冗談言い合いふざけて楽しむ良い友達だった。

何回も告白されたけど、面白くて、話のツボも合うけど、見た目も好みじゃなかったし、(若い時は特に見た目にこだわっていた。)どうしても恋人としては見ることができなくて、いつもお断りしていた。それでも良い友達関係は続いていた。

その数ヶ月前から、C君がたまに「友達と集まってるから、遊びに来ない?」と誘ってくれて、こっそり家を抜け出して、クラスの男子の家に夜遊びしに行くことも2、3回あった。

とにかく遊びたい盛り、男子と話すのは女子の友達と話すより楽しくて、イブに誘われた時もC君には悪いけど、C君のためではなく、自分が楽しむために「うん、行くよ!」と即、答えた。

親には女子の友達の家でパーティーするので、泊まってくると伝えたけど、疑りもせず、うまいこと朝まで遊べる手筈も整えていた。

クリスマスイブにみんなでパーティーなんて!!

嬉しくってウキウキして、自転車で10km以上離れた友達の家へ喜び勇んで行ったのだった。

パーティーには同じ高校のクラスメイトだけじゃなく、話したこともない子も何人かいた。

まだ高校生とは言え、酒盛りですっかり盛り上がっているパーティーの中盤、アイツが現れた。

アイツは5日後に誕生日だったので、その時、まだ若干16歳。

バーテンダーのような格好で背も高く、私はてっきりもう高校卒業した年上の人だと思ってた。目がぱっちりと大きく、鼻も高いイケメン。

いかにも遊び人という第一印象だった。

話によると、高校は1年の時に退学したそうで、既に働いているから妙に大人びて見えたのだろう。ワルはワルだったけど、俗に言うヤンキーではなかった。本人曰く、シティーボーイと(苦笑)。

なんだか私とは住む世界が違う人のようで、最初は距離を置いて座っていた。

でも、気がついたら隣同士で、話が合いまくって二人で漫才コンビの如く冗談を言い合い、なんだかリズムの合う、テンポ良い会話が楽しくて楽しくてしょうがなかった。

後で聞けば、パーティにはアイツの彼女も来ていたらしい。アイツは彼女にはお構いなしで、ほとんどの時間を私と喋って過ごした。

アイツは話がうまく、ホントか嘘か分からない幽霊話やアイツのイキがった武勇伝など面白おかしく話してくれて、いっぱい笑った。

本当に楽しい時間だった。

その頃は当然、ケータイもない時代。若い男女は、家の固定電話番号のやり取りで連絡先を確保してた。

会話の中で、アイツは冗談交じりで何回も自分の家の電話番号を私に言っていた。

酔っ払ってはいたけど、こんなに一緒にいて楽しい人は初めてだったので、覚えていようと、徹夜でボゥッとしながらも、なんとなく心にメモしておいた。(続く)





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