クサギ 美貌と悪臭とが共存する不思議な樹
臭木 (クサギ)
シソ目、シソ科、クサギ属の落葉低木
先ずはその名前からして避けたくなる「クサギ」
という植物。触れると嫌な臭いを放つことから
この名がつけられたものであるが、一方でこの
クサギは多くの魅力が隠されている樹木となる。
悪臭を乗り越えた先には、甘く香る美しい花と
鮮やかな青い実の姿。このコントラストに誠に
驚かされる植物こそが、今回紹介するクサギ。
(以前にも何回も紹介しているものだが…)
先ずは、このクサギという植物は香りに於ける
二面性というものを有しているもの。葉や枝に
触れると確かに強い悪臭を感じるのがその一方
夏の終わり頃に咲くその白い花からは甘い香り
を辺りへと漂わせるもの。ピンと一本だけ姿勢
良く伸びているのが雌蕊、だらしなくダラダラ
している四本が雄蕊である。
臭い匂い、芳しい香り、という相反する二面性
の要素を同時に持つクサギは、ヒトの嗅覚へと
驚きを与える存在になり、このギャップこそが
クサギがただの臭い植物ではなく、人々の興味
を引く理由と言えるものとなっている。
この花が魅了させる対象は、ヒトだけではなく
昼にはアゲハチョウなどがその蜜を求め集まり
夜にはスズメガなどが香りに誘われて集まって
昼夜を問わず、受粉協力者に蜜を与えるもの。
この植物のもつ視覚的な魅力は、この見た目も
楽しませてくれる花と果実にある。
クサギの花は、星形で純白。咲き始めると周囲
へとふんわりとした甘い香りが広がり、昆虫達
も多く引き寄せられるものである。そして花が
終わると現れるのは、目を引く程に鮮やかで
美しい青い果実と、果実を包む赤い萼(ガク)
である。以前にここに紹介した洋名にあるのは
配色の美しさを『ハーレクイーン』に見立てた
名称となる。この実姿は秋の庭を彩る自然界が
見せてくれるアートである。この姿に魅せられ
撮影に夢中にさせられる私なのである。なお、
この美しい花姿のこれは花弁でなく萼片となる。
クサギは悪臭から避けられる存在かと思いきや
その実は古くから薬草としても重宝されてきた。
葉や樹皮には抗炎症作用があるもので民間療法
で傷の手当てや腫れを抑えるために利用されて
きたもの。また、果実は鮮やかな青色の染料と
して、布や糸を染める用途でも利用される。
この様に、クサギはその名前と悪臭から敬遠を
されがちであるが、その本当の姿を知ることで
その美しさや、ヒトの役にたってきた有用性が
共存する不思議な存在のモノと言える。自然の
中にあるギャップや二面性の魅力を体験できる
のが、このクサギという植物と言えるのである。
和名 臭木 (クサギ)
臭梧桐 (シュウゴドウ)
洋名 ハーレクイン グローリー バウワー
(HARLEQUIN GLORY BOWER)
ピーナッツブッシュ
(PEANUT BUSH)
ピーナッツ バター ツリー
(PEANUT BUTTER TREE)
学名 クレロデンドラム トリチョトマム
(CLERODENDRUM TRICHOTOMUM)
分類 シソ目、シソ科、クサギ属
種類 落葉低木
開花 7〜9月
花色 白
花径 20〜25mm
萼片 5枚
雄蕊 4本
果期 10〜11月
原産 日本、中国、韓国、台湾、インドネシア、
フィリピン
言葉 治癒
撮影 大阪公立大学附属植物園
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