艶青亀虫
艶青亀虫 (ツヤアオカメムシ)
カメムシ目、カメムシ科、の昆虫で我々の
周りによく見られるスタンダードな昆虫。
アオカメムシの中でも、そのボディに艶が
ある事からツヤアオカメムシの名前である。
いつもの定例的にアクティビティをこなす
サークル仲間の女性と会社の廊下で会った時
『一大事なのです、聞いてくださいよ』と
深刻な顔をして相談される。
その内容とは、友人の家の壁一面にカメムシ
が貼り付いているとの話を聞いてビクビクと
日々を過ごしているとの事。彼女は野山での
ハイキングの時に当たり一面を凍えさせる程
の金切り声を上げて、その場にいた者全員が
一斉にしゃがみ込むほどのスクリーマー並の
声で、何事かと思えば、悠々とカラスアゲハ
が飛んで行く姿であった。そう、彼女は虫が
大の苦手なのである。なので普段の声よりも
3オクターブほどのカン高い叫び声は全員を
震え上がらせた。
そんな彼女は、友人から聞いた壁一面に虫が
貼り付いている情景を恐れているのだった。
テレビで今年はカメムシの大量発生について
例年を遥かに上回るカメムシの数だとの報道
がなされていて、そんな天変地異までは私の
手の及ぶところではないのだよと諭した。
このツヤアオカメムシは、見た目の美しい姿
とは裏腹に、カメムシの中でも最悪の害虫と
されているものである。
杉(スギ)や、檜(ヒノキ)の実に、口吻を
刺して唾液を実の中に注入して、その内容液
を吸い易い様に加工して吸うのだが、これに
留まるのならば人間にとっては然程の実害は
少ないのだが、これで全体の個体数が一気に
増える。杉も檜も日本には豊富に生えている
樹木である。たらふくこれらの実から養分を
貰った彼らはパートナーと出会っては子作り
に励んでじゃんじゃかとその数が増える。
今年は暑い夏が続き、餌となる杉や檜の実も
豊富だったゆえ、順調に個体数が増え(過ぎ)
他の植物の実もターゲットとなってしまう。
梅(ウメ)
桃(モモ)
李(スモモ)
蜜柑(ミカン)
稲(イネ)
これらの実にも彼らは直に口吻を突き立てて
唾液を入れて、自分たちが飲みやすい様にし
これを吸う。この被害にあった果実はどれも
変形や変色を起こし、商品価値を失う。
だから、このツヤアオカメムシは農家さんの
敵の本命なのである。
さて、私のマンションでも共用部の廊下には
何匹もこのツヤアオカメムシが点在していて
私の居る4階をリサーチしてみたら、生きて
いるもので5匹、死んで転がっていたものは
3匹が確認された。廊下だけの話であり外壁
にも当然居ると考えられ、やはり例年よりは
多いのだろうと想像される。
私の部署が建材時代の話だが、兵庫県にある
妙見山の側という自然環境の良い場所に住む
私の当時の先輩が、陰干しをしていたスーツ
を着てお出かけしようとして、胸ポケットに
入れていた櫛(クシ)を出したところ、この
アオカメムシがクシに付いていたのを払って
髪をとかし、胸ポッケの中にクシを入れよう
と突っ込むと何かに引っ掛かる。クシを引き
抜くと2匹のアオカメムシがいて、同じ様に
庭に払い飛ばして、胸ポッケに再び…またも
奥まで行かない。胸ポッケを覗くとカメムシ
がまだいたそうな…
カメムシは越冬する虫として知られる。本来
は樹皮の間などに身を潜めて寒い冬を越して
翌年にまた活躍するのだが、その隙間に潜る
性質があるので、この時期には洗濯物などを
取り入れる際には注意が必要となる。
どこかの温泉旅館に行くと、秋から冬にかけ
沢山のカメムシが室内のあちこちに潜む。
私は農業従事者等ではなく、そこで出会った
カメムシに個人的な恨みもないので旅館側の
従業員が掃除機でスポスポとカメムシを吸う
場面を見ると、カメムシたちを捕まえて外に
逃してやる。室内にいた方が暖かいけれども
生存確率はとても少ないからである。
ちなみにこのカメムシは臭い匂いを出すので
ドンタッチ、ノータッチである。パクチーが
大好きな人は自己責任の範囲で。ちなみに
臭い匂いを出した本人も暫し、自分の刺激臭
に気絶してしまうらしい。
マンションの壁に貼り付いていた綺麗な姿
この葉2枚があの世行きの片道チケットの
トリカブトの葉の上で休むツヤアオカメムシ
大丈夫なんかいな?と心配してしまう
和名 艶青亀虫(ツヤアオカメムシ)
学名 グラウキアス サブパンクタタス
(GLAUCIAS SUBPUNCTATUS)
分類 カメムシ目、カメムシ科、
種類 カメムシ類
全長 15mm前後
出現 8〜11月
分布 日本全土
食害 杉 (スギ)
檜(ヒノキ)
梅(ウメ)
桃(モモ)
李(スモモ)
蜜柑(ミカン)
稲(イネ)
撮影 大阪市淀川区、我がマンション
六甲高山植物園のトリカブトの葉の上
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