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福田平八郎に学ぶ『竹』


『没後50年 福田平八郎』

2024年3月9日〜5月6日の期間に渡り
大阪中之島美術館にて開催された回顧展である。


以前より、その独特な写実主義の世界に惹かれ
何点も好きな絵があり、回顧展が開かれる事を
知り、喜び勇み美術館へ足を運んだのであった。


そんな展示会が終わって、結構な時間が経つと
云うのに、何で今頃になっての紹介なのか?


福田平八郎は画家として同じ題材を何度も描く
事でも知られており、その画材に惚れ込んだら
とことんその美を追求し続け、何枚もの作品を
残したものである。


釣りに出かけた琵琶湖の上にて出会ったものが
湖面上に煌めく美しい漣(サザナミ)の姿である。
当時の様子を福田平八郎は次の様に綴っている。

『湖北で釣りをしていましたが、釣れないので、
ウキを睨む目を水面に移したところ、ハダにも
感ぜぬ微風が美しい漣をつくっている。瞬間、
私は「これを絵にしてみよう」と思った。波の
形は瞬間の動きでなかなかつかみにくい。なんと
しても、よく見ること以外に方法はない。と一生
懸命に考えた。そして縦一・六五メートル、横
二・九七メートルという大きな画面いっぱいに
魚も雲も空も何一つ描かず、漣だけを描くことに
したのです。』(原文そのままの記載)



この時のこのポスターを見て、私は嬉しくて同展
を訪れた訳であり、この絵こそが福田平八郎より
何枚も描かれた『漣』の中の一枚である。




展示後期には、盆に載せられた白桃のポスターも
追加されており、これを見ただけで桃が食べたく
なった私でもあった。


福田平八郎は、大分に1892年2月28日に
生まれ、18歳の時に京都へ出ると画家となり
1974年3月22日に急性肺炎で亡くなる迄
京都で過ごした画家であり、京都名誉市民にも
なっている。




福田平八郎がそのものに惚れ込んで残した絵の
題材の中でも複数枚を残したものを列挙すると


漣(サザナミ)
筍(タケノコ)
鮎(アユ)
桃(モモ)
鯉(コイ)
竹(タケ)


などが、特に多いものである。
もちろん、同じものは再現できないが同氏が
惚れ込んだ題材の美の世界へと近づくことは
できるのではないかとの意味を込めて、上記
題材について追いかけていこうと思っている。


さて、竹の話が今回のテーマである。
皇居の中の『竹の間』には、福田平八郎氏の
作品である『竹』が飾られている。


竹について、同氏が語られている言葉が残って
おられ、そこには過去からの絵を描く上での
定石というものに対する疑問の言葉が呈されて
いて興味深い。


『昔から竹は緑青で描くものときまっているが、
三年間見続けて来てるけど私にはまだどうしても
竹が緑青に見えない。』(原文のまま)


そんな彼の『竹』の作品がこちらである。



そして、こちらは福田平八郎が生まれた大分県で
過去に開催された『竹』が表紙となった展示会の
ポスターである。



私自身は、自然の中のものを撮影して作り上げて
いこうとしているのは、ネットで誰でもが見る事
が出来るデジタルボタニカル図鑑を目指すもので
あるが、竹については緑青が美しいものばかりを
掲載してきたものである。


福田平八郎の絵にも倣い、撮った竹が下のもので
これから、今回の『竹』以外についても追いかけ
載せていけたらと思っているのである。



これらの竹を撮影したのは、奈良の松伯美術館
(ショウハクビジュツカン)の庭園内にあった
竹林を撮影したものとなる。多彩な彩りを纏う
竹の姿が撮影できたので今回の記事へと進めた
訳である。

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#福田平八郎
#フクダヘイハチロウ
#松伯美術館
#竹
#タケ

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