ヌルデ 妖怪『お歯黒べったり』を生みだしたもの
白膠木 (ヌルデ)
ムクロジ目、ウルシ科、ヌルデ属
樹高が3〜10m程度の落葉小低木となる。
ウルシの仲間であり、ウルシほどではないが
人によっては触れると皮膚がカブレてしまう
植物である。
この植物の茎部にはウイングがついてる事で
種類の特定などが比較的簡単に出来るもの。
この半分枯れている様にも見えるこの葉姿が
私にはとても美しく感じられるもの。
ヌルデの名称は器の製作工程にこの樹木の幹
に傷を付けて、そこから流れ出た白汁を器に
塗った事に由来するものとなっている。
この葉には面白い形の瘤(コブ)が出来てて
つい最近の大阪公立大学附属植物園を探索中
の植物園内のガイドツアーの中で年配女性の
方が私を呼び寄せて見せてくれたものである。
『ほら、この瘤(コブ)は、こうして割ると
中はこんな風になっていて虫が中にいるの。
この中の白いのが、ヌルデシロアブラムシで
黒いのはその糞なのよ』と私の見ている前で
それをパカッと割ってその中を見せてくれた。
この植物園でのガイドツアーにはこの園内を
案内してくれる同植物園のガイドさんもいて
くれるのだが、晴れて私もその一員となった
京都園芸倶楽部のメンバーの方々のスキルも
素晴らしいもので、彼女達もまた私にとって
別のガイドさんが居てくれている様なもの。
何かを見つける度に私に解説して下さるので
とても有難い時間なのである。
パカッと開けたのを直ぐにポイっと捨てられ
写真を撮る間もなかったが、虫の糞もあった
訳だし、ブログに載せなくても良いものだと
判断して、そのままの形で残った虫瘤だけを
撮影した。その昔にこの虫瘤を使って、女性
はお歯黒にしたものなのだと教えてくれた。
この虫瘤(チュウエイ)、蒸して乾燥させて
『五倍子』(ゴバイシ)という名の生薬へと
利用されているものである。
お歯黒といえば、古くは奈良時代や平安時代
に始まったもので身分の高い者や、既婚女性
が歯を黒く染める風習に由来したものである。
その後の江戸時代に江戸(関東)を中心として
妖怪ブームが到来、そんな異形のものの中に
『お歯黒べったり』が登場する。大きなその顔
に目鼻は全くなく、真っ白なその大きな顔に
大きな口が開いて、お歯黒姿で人を驚かすと
いう、それだけの妖怪である。
当時の都市伝説みたいに語り継がれたもので
現在の口裂女とも近い存在であり、それだけ
の驚かせ妖怪レベルのもの。確かにこれが
暗がりの中に現れたのならば、多分私も腰を
抜かしてしまうに違いない。
お歯黒べったり自体がホラーだが、それより
この虫だらけの虫瘤を使って歯を黒く染めて
いたという事実もまた、私にとってはプチな
ホラーに感じるものである。
それより何より、昔の人達はどれだけ色んな
ものを試行錯誤と、労力と知識とを費やして
この用途へと辿りつけた事自体が本当に凄い
と思う。
和名 白膠木 (ヌルデ)
塩膚木 (ヌルデ)
洋名 チャイニーズ スーマック
(CHINESE SUMAC)
学名 ルス ジャワニカ
(RHUS JAVANICA)
分類 ムクロジ目、ウルシ科、ヌルデ属
種類 落葉小低木
草丈 3〜10m
開花 8〜9月
花色 白
花径 5mm
花弁 5枚
原産 日本、朝鮮、中国、台湾、インド
言葉 知的な
華やか
壮麗
撮影 大阪公立大学附属植物園
蓬莱峡
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