馬酔木
馬酔木 (アセビ)
ツツジ目、ツツジ科、アセビ属の多年生低木
野山を散策していると壺状の花が連なり咲く
この姿を良く見かける。アセビである。
古くは、万葉集にも出てくるこの植物は日本、
中国、朝鮮、台湾などを原産国とする植物。
庭木としても良く植えられているもの。
馬酔木と書いてアセビと読む。
その名の由来は、馬がこれを食べると酔った
様にフラフラになる姿を見て、そこから名が
ついた。
食べた馬は実際は酔った訳ではなく、毒成分
に冒された症状なのである。この樹木の持つ
毒はかなり強力なもので、摂取してしまった
動物は命を落とす危険性を持つ猛毒植物。
動物や人間など、その体重の0.2〜0.6%の
摂取量で中毒症状を引き起こされる。具体的
には、体重60kgの方を例にとった場合は
12〜36gの馬酔木を摂取しただけでその
命は危険となる。小さなお子さん、犬猫など
が摂取をすると重症化、最悪は死に至る。
この馬酔木の持つ毒とは、神経系の毒成分で
ロードトキシン、グラヤノトキシンと神経系
に作用する毒性の物質が含まれており身体を
コントロールする中枢システムを停止状態に
させてしまう。それは摂取後の6〜8時間後
に現れ、大量涎、眩暈、嘔吐、腹痛、不整脈、
呼吸困難、麻痺、を経て、死に至る。
神経系毒は中枢神経動作の全てをダウンさせ
肺の呼吸そのものや、心臓の動作などと同時
に血液循環を妨げる。いかに危険なものかが
お分かり頂けるであろう。類似した毒性反応
としては猛毒サリンに匹敵するものである。
この植物は全草が毒、花粉も毒ならば、蜂が
集めた蜜もまた毒。蜂にとっても危険な毒で
あるのだが、稀にだがこの花の蜜に抵抗力を
持った蜜蜂が馬酔木の蜜を集めたりもするが
これの入った蜂蜜には、もれなく猛毒成分の
ロードトキシンがいつまでも残り続ける。
この様に食べてしまうと、命の危険を脅かす
蜂蜜の事を指し『マッドハニー』と呼ばれる。
実も毒を有しており『悪し実』から『アセビ』
の説もある。
元々、野生の中で生きる動物達は危険植物は
本能で知っていることから寄り付きもしない。
が、人に飼われた家畜や野生を忘れてしまった
馬、牛、羊、山羊、鹿などは馬酔木が側にある
と食べて死んでしまうケースも少なくないのだ
そうだ。
洋名アンドロメダの名はギリシャ神話に登場
するエチオピアの王女の名に由来する。
アンドロメダの母親が海のニンフより娘の方
が可愛いとふれ回ったのを知った海の神である
ポセイドンの怒りを買ってしまい、怪物への
生贄にする為に岩に磔にされたアンドロメダ。
そこに偶然通りかかった英雄ペルセウスにより
命を救われる。一時は生贄の覚悟をしてしまう
アンドロメダ。このエピソードから、花言葉の
『犠牲』『献身』に結びついている。
学名ピエリスの名称はギリシャ神話の詩の女神
達の集団の名前に由来している。アセビの花が
仲良く連なり咲くその姿を女神達に喩えたもの。
和名 馬酔木 (アセビ)
洋名 ジャパニーズ アンドロメダ
(JAPANESE ANDROMEDA)
学名 ピエリスジャポニカ
(PIERIS JAPONICA)
属性 ツツジ目、ツツジ科、アセビ属
種類 多年生低木
草丈 1〜5m
開花 春〜初冬
花色 白、桃、赤
毒物 ロードトキシン、グラヤノトキシン
身体制御を停止させる神経系毒性物質
症状 大量涎、眩暈、嘔吐、腹痛、不整脈、
呼吸困難、全身麻痺、致死
原産 日本、中国東部、台湾
言葉 犠牲、献身
撮影 六甲山高山植物絵、兵庫県川西市、他
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