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死体花


死体花 (シタイバナ)


オモダカ目、サトイモ科、コンニャク属の
インドネシアのスマトラ島の固有種となる
多年生植物となる。


世界最大級の花を咲かせる植物の一つとして
知られているもので、花からは腐肉臭がして
原産地では、腐肉に集まるシデムシの仲間を
おびき寄せ、受粉を協力させるものである。
その匂いの酷さから死体花(シタイバナ)の
和名もついており、二度目の掲載となるので
燭台大蒟蒻(ショクダイオオコンニャク)で
なく、死体花(シタイバナ)をタイトルへと
起用した。


実はこの花、開花する迄の準備期間がいる上
開花確率がとても低いものでもあり、運良く
花が開いたとて、その期間はたったの二日と
その大きさでありながら短命の花なのである。
長い工期を掛け大掛かりなビルを建てておき
ながら、あっという間に倒壊させてしまった
建物、みたいな感じである。


日本国内では、小石川植物園が1991年に
国内初開花をさせたのが始まりで、筑波実験
植物園では5年連続開花記録を更新中に加え
神代植物公園、武田薬品京都薬用植物園での
開花など、専門チーム編成をさせないと簡単
に咲く代物ではないのである。


京都府立植物園に於いても、数年前に初めて
咲いた時には真夏だというのに、暑い温室に
長蛇の列が出来るほどの盛況ぶりで報道含め
大騒ぎとなったとの話もされたものである。


私宛に一昨日の晩の遅々に2件のLINEが
入って確認をすると、京都園芸倶楽部の会長
から「今晩中に開花の可能性があるわよ」と
連絡があり、武田薬品薬用植物園からは開花
したとの速報の情報が届いたのである。


花は2日間にかけて開花するものの、3日目
からは萎れ始め、終わりを迎える。つまりは
この2日間のチャンスを逸すると、この先は
何年も先になる可能性もある。


という事で京都府立植物園、この植物の撮影
に行ってきたので、今回はそのリポート記事
となる。


先ずは誰もがこの植物の姿を見た瞬間の反応
は同じであり『うわー、マジッ?デカッ!』
外人も皆んな『WAO!AMAZING!』など。



さて、一枚目には、女の子を顔を載せないでの
掲載をしている。植物の大きさの対比がこれで
お分かりいただけるであろう。

ただ残念だったのは植物の配置である。もっと
ジャングルの中の植物が覆い茂った箇所の前に
でも配置してもらえたら撮影する者も雰囲気を
楽しみながら写真が撮れたと思う。


下の写真はかろうじて人工物の写り込みのない
ものとなる。



私は基本的には人工物を植物と一緒には撮らぬ
様にしているが、この数年に一度とも言われる
植物の開花なので、仕方がない。以下はそんな
写真となる。



このシタイバナの花の構造であるが、巨大な
キャベツの葉っぱの様なものがグルリと周囲
を取り囲んでいるのが見えているが、これは
仏炎苞と呼ばれるものであり、



仏炎苞に取り囲まれてその真ん中にニョキッ
と突き出ているベージュ色の棒状の極太の柱
は、付属体と呼ばれているものである。
この付属体の役割は、ここから腐臭肉の匂い
を放つ事によって、虫を誘き寄せては受粉の
手伝いをさせるわけだが、雄花も雌花もこの
付属体の根本付近にそれぞれに帯状に複数の
花が並んで付いている。もちろん、その部分
は外観を撮影した写真で見る事はできない。




さて、この場にいた者は皆、一応、その匂い
を嗅いでいる仕草をしたのだが、言う程には
臭くなかったというのが正直なところであり
それでも中央部の付属体には、蠅(ハエ)が
止まっている姿は確認、写真にも撮れた。


仏炎苞の内部をどこまで見る事が出来るのか
多数の方が自撮棒を使用していたのを見て、
正式に許可を貰って自撮棒を使用して撮影。
受粉の為の雄花雌花は最深部にあるので撮影
出来る筈もなくである。



花は夜から開花し始め、開花~1日目が特に
臭いを放つのだという。また開花してからの
数時間の深夜に発熱をし始める。これは熱に
より発生した上昇気流に乗せ広範囲に臭いを
拡散させる為のものと考えられるている。
(園内パネルを撮影したもの)



天南星(テンナンショウ)グループも同じ手
を使い、キノコ系の匂いでキノコバエを誘い
雌雄異化株の雌花は、キノコバエを閉じ込め
結果として殺してしまう訳だが、シタイバナ
は雌雄同株の性質から、誘引した虫は殺さず
逃してやる。コレはあの『ラフレシア』とも
同じスタイルであり、受粉の協力者を裏切る
様な事はしないのはエライ。この雄花と雌花
は帯状に並び、虫を閉じ込めるトラップ等は
存在しない。(園内パネルを撮影したもの)


アカモンオオモモブトシテムシ
東南アジアに広く分布する甲虫目シデムシ科
の昆虫。主に哺乳類の死体に集まる腐肉食。
ショクダイオオコンニャクの花粉を媒介する。
(園内パネルを撮影したもの)



それでも、この奇跡の様な植物を撮影出来る
機会を得られたのは私としても貴重な体験と
なった。数年振りの開花を果たされた方々に
は心から感謝である。


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和名 燭台大蒟蒻
   (ショクダイオオコンニャク)
   死体花
   (シタイバナ)
   お化け蒟蒻
   (オバケコンニャク)
洋名 タイタン アラム
   (TITAN ARUM)
   コープス フラワー
   (CORPSE FLOWER)
学名 アモルフォファラス タイタナム
   (AMORPHOPHALLUS TITANUM)
分類 オモダカ目、サトイモ科、
   コンニャク属、
   ショクダイオオコンニャク種
種類 多年生植物
草丈 2.5〜4.5m
開花 春
花色 なんとも言えない複雑な色
原産 インドネシア スマトラ島
言葉 柔軟
撮影 京都府立植物園

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