コルクガシ ワイン瓶の栓だけでなく、イベリコブタの食用ドングリにもなる樹
木栓樫 (コルクガシ)
地中海沿岸部を原産とする常緑高木で樹高は
20m程までの高さまで伸びる。
和名と洋名に表されたその名前は、この樹木
の表皮に近い部分をくり抜くと、そのままで
ワイン用のコルク栓が出来上がってしまうと
いう優れものである。
コルクガシの樹皮がワインの栓に適している
理由は、その特有の構造と性質によるもので
理由としては、四つポイントが挙げられる。
その1、弾力性と圧縮性に優れている
コルクの細胞は、小さな気泡に満ちた構造で
圧縮したり元の形に戻る弾力性をもつもの。
この事から、瓶の口にしっかり密着する上に
外からの空気を遮断する役割を果たしている。
その2、通気性に優れている
コルクは実は完全に密閉している訳ではなく
少量の酸素を通す微細な通気性を持っている。
この僅かながらの酸素供給は、ワインの熟成
を助け、香りや風味向上に適している。
その3、耐久性と腐敗しにくさ
コルクは腐敗にも強く、長期間にわたっての
ワインの品質保持性を保つもの。また防水性
も優れているため、液体に直接触れても劣化
しにくい特性を持っている。
その4、繰り返し再生される天然素材
コルクガシは再生可能な資源としても優秀で
樹皮を剥いでその部分でワインコルクを作る
訳だが、その樹皮自体が改めて再生される為
環境負荷が少ない何度でも繰り返し作られる
とってもエコな素材なのである。
そんな事からコルクガシは、ワインにとって
大切な蓋材の役割を担っているのである。
さて、もうひとつ、このコルクガシが農業で
役立っているのが、イベリコブタの育成には
欠かす事のできない食材となっている点。
イベリコブタ(IBERICO PORK)とは、簡単
に解説をすると、スペインと、ポルトガルの
イベリア半島で飼育される特別な豚の品種で
特徴的な黒い毛色とスリムな体形をしており
その肉には豊かな風味と特有の脂肪の甘さが
あるもの。特にイベリコハムとして知られる
生ハムは世界的にも高い評価を受け、独特の
香りと口どけが楽しめる高級品である。
このイベリコブタの品質には飼育環境と餌と
が大きな影響を与えるもので、『ベジョータ』(BELLOTA)と呼ばれている特上級ランクの
イベリコハムは、豚がドングリをたっぷりと
食べて育ったものであり、このベジョータの
言葉は、スペイン語でドングリを意味する。
イベリコブタはエサとなるドングリを食べる
為に、『デエサ』と呼ばれるカシの森林の中
に放牧される。食べるドングリの種類は2種類
で、今回紹介する『木栓樫』(コルクガシ)と
『西洋柊樫 』(セイヨウヒイラギガシ)からの
ドングリとなる。
これらのドングリは脂肪分が豊富に含まれて
おり、これを食べて育つことでイベリコブタ
の肉に特有の風味や甘みが加わって、肉質が
さらに柔らかくなるというもの。ドングリに
オレイン酸が多く含まれる為、イベリコブタ
の脂肪の質も高まって、健康的な脂肪成分を
もたらされ、その生ハムは舌の上へ載せると
その熱でとろけていく極上ハムとなっており
これがドングリを餌に育ったイベリコブタに
『歩くオリーブオイル』の異名がついた所以
でもある。
このように、イベリコブタとその餌にもなる
ドングリは切っても切れぬ密接な関係にあり
伝統的な飼育法が高品質な肉を生み出す要因
となっている。
この記事を読まれら、極上のワインを一本と
美味なるイベリコブタベジョータの生ハムを
テーブルに用意、たまには世の中の贅沢品を
秋の夜長に堪能されるのも宜しいかと。
和名 木栓樫 (コルクガシ)
洋名 コルク オーク
(CORK OAK)
学名 クェルカス スーバー
(QUERCUS SUBER)
分類 ブナ目、ブナ科、コナラ属、
コルクガシ種
種類 常緑高木
草丈 10〜20m
開花 春
花色 黄
花径 25mm
原産 地中海沿岸部
渡来 明治時代
言葉 永続性
信頼性
撮影 日本新薬 山科植物資料館
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WINE CORK & SPANISH RED WINE
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IBERICO PORK
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