【毎週ショートショートnote】お題:「スネーク満床」解説&おまけ(564文字)
とある会社の新年会が老舗旅館で開催された
「抱腹絶倒!スネークマン・ショウをお楽しみください」
インドのヘビ使い姿を模した万年課長が舞台の高座に上がり、両手を掲げて挨拶した。途端にズボンがずり落ちて、へそが見える。
<最初からベタな展開に宴会場は微妙な空気に>
舞台には台の上に赤、黄、緑のザルが伏せてあった。
「レッドスネーク!カモン!」と万年課長が縦笛を吹くと赤いザルのふたから、赤ヘビが現われて口をパクパクさせる。
このヘビは鍋つかみを細くしたような手袋に目を描いたもの。台の中に人が入り、手を動かしてヘビの口を開けたり閉じたりしているのだ。
「スローダウン」と言うと、ヘビはザルの中へ。「ちょっと出ておいで」再び顔を出す。注文通りのヘビが出ることもあれば、出ないこともある。
お酒が回った社員たちは眠くなり、次々に畳に横たわり、うつらうつらと目を閉じた。
ー万年課長だけは大声を出し、冷や汗を流して何やら焦っているー
<黄色のヘビが出てこない。ザルをたたくと「あ、痛」といって台の中から社長が顔を出した>
ダラダラ寝そべって眺めていた社員達は、蛇に睨まれたカエルの様に硬直し、全員寝たふりを決め込んだ。
万年課長:「みなさん、お休みで満床です」
社長 :「けしからん!ワシの寝床が無いじゃないか!」
ちょこっと解説
私の中でスネークショウと言えば、東京コミックショウしかありません
レッドスネーク カモン!
東京コミックショウ 「懐かしの三蛇調教」
おまけ
私は大学時代に落語研究会に所属をしていた。
うっかり会社で漏らしてしまうと、新年会や忘年会で必ず落語をやらされた
新年会や忘年会で落語をやらされるのは地獄である。舞台設定されているので、大ネタ(20分以上)をする羽目になるのだが、宴会で酒飲んでる人は、落語なんて聞かないのだ。
⇒マジックや一発芸の方がウケが良い。
誰も聞いていない落語が終わると、「いやー面白かったよ」の社交辞令
落語研究会のメンバーも同じ目にあっているらしく、「会社で落研時代の話は絶対にしないでおこう」と硬く心に誓った。