【毎週ショートショートnote】お題:「リベンジトリートメント」581文字
斎藤工業 社内野球大会が開催された
社長の斎藤はアフロヘア―とワンマン経営で「アフロ社長」と恐れられていた。
9回裏2アウト満塁 カウントは2ストライク3ボール
ピッチャーは社長の斎藤
最後の1球はド真ん中ストレートで勝負するしかない
ピッチャーの斎藤は、汗を拭うために帽子を外した後、渾身のストレートを投げる。
しかし、投げられたのはボールではなかった。
汗を拭う際に誤ってカツラが取れ、ボールと間違えてアフロのカツラを投げてしまったのだ。
誰もが「アッ」と叫んだが
選手全員は「ボールがカツラになっていることに気付かないで、そのまま試合を続行する」忖度の道を選んだ。
バッターは渾身の力でバットを振りぬき、フリスビーの様に飛んだアフロのカツラは3遊間を破って長打コースになる。
ホームでピッチャーとランナーの交錯プレーとなった。
交錯する際にカツラを返す計画だったのだが、斎藤はカツラを最後までボールとして扱い、カツラをランナーにタッチする
審判は「アウト~」と叫んでゲームセットとなった。
<斎藤社長チームが勝利したが、相手の万年課長チームは納得いかない>
若手「見て見ぬふりをさせられた上、つじつま合わせの理不尽な判定、これがこの会社のやり方ですか!」
万年課長「ルールは社長が決める」
若手「この転がったカツラはどうしましょうか!」
万年課長「アフロのカツラは、トリートメントして、ストレートにして返してやれ」
裏のお題も挑戦しました