【毎週ショートショートnote】裏お題:「缶蹴り恋愛逃走中」(1000文字)&解説
「缶蹴りなんて、やったことありません」
研究員たちは口々に答える
人類学研究室長のロバート教授は言葉を失った。
【缶蹴り】とは、日本で慣れ親しまれている遊びで、「鬼ごっこ」と「かくれんぼ」を融合させた画期的なものだ。
「缶蹴り」を調べると大きな問題があった
私の研究室には、日本の超エリート集団がいる。一匹狼で、IQの高い彼らは、最初から欠点を見抜いており、戦略的に攻略する以前に、ゲームをしない選択をしていた。
【破綻しているゲームなら継承はされていない】
ラボにセットを作り、研究員に缶蹴りをさせて検証することにした
やはり、誰も鬼をやろうとしない
「We're not going to be fooled.(俺たちは騙されないぞ)」
「そう言うだろうと思ってたさ。さて、この空き缶だが、研究室のミス香織が飲んだモノを提供してもらった」
ー鬼の希望者が殺到したー
(彼らの争いは、罵り合い、殴り合いに発展した)
ロバート教授が缶を蹴って、ゲームがスタートした。
皆が一斉に隠れたが、鬼はいつまでも経っても探しに来ない。
鬼は缶を持って逃走していた。
ー検証は中止となったー
『ロバート教授のレポート』
「缶蹴り」とは人類には早すぎる高度なゲームである。
このゲームを成り立たせるのは「個」ではなく「集団(組織)」である
「缶蹴り」とは、「じゃんけん」という公平な方法で不作為に鬼を決め、鬼の能力に合わせてゲームが成立するように皆が協力し、同調する訓練なのだ。
日本は農耕民族であり「和」を尊ぶ。「個」では力を発揮しないが、「集」になると強烈で強靭な「個」を形成させる
特定の宗教を信仰しない彼らの倫理やアイデンティティーは伝統の行事、祭り、遊びで継承されていく。通過儀式を行わない者は、我をコントロールできなくなり暴走する
ー「缶蹴り」が無くなった時、この国は何かを見失うだろうー
ロバート教授は、レポートを書き終えると、直前ですり替えた空き缶を手に取った。
たらはかにさん、いつもお世話になっております。
※このショートショートは私の妄想なので、実際の「缶蹴り」とは関係ありません。
今回の裏お題は、一度ボツにしたものです。
理由は
文字数オーバーが酷すぎ(いまさら)
私自身が「缶蹴り」に疑問を持っていた
noteを読んでる、ちびっ子が缶蹴りを嫌いになると困る
ルールに地域差があると話が伝わらない
ですが、改めて調べてみると、ルールが統一化されていたり、アレンジする楽しみ方もあったんですね。
noteを読んでる ちびっ子のみんな!
缶蹴り楽しいよ!
使用した空き缶はゴミとして処分するのがマナーだから、忘れずにね!
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