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【毎週ショートショートnote】裏お題:「缶蹴り恋愛逃走中」(1000文字)&解説

「缶蹴りなんて、やったことありません」

研究員たちは口々に答える

人類学研究室長のロバート教授は言葉を失った。

【缶蹴り】とは、日本で慣れ親しまれている遊びで、「鬼ごっこ」と「かくれんぼ」を融合させた画期的なものだ。

「缶蹴り」を調べると大きな問題があった

<鬼の負担が大きすぎる>

缶蹴りには、①状況判断力、②運動能力、③戦略性が必要

・鬼が4人以上を同時に相手にするには、鬼は逃げる方の①~③平均値の1.25~1.5倍の能力がないとゲームが終わらない

・例え鬼の能力が高くとも、チームを組んで戦略を立てられると太刀打ちできない

・鬼の人数を増やしても、全員で波状攻撃をされると、ゲームは一瞬で終ってしまう。

私の研究室には、日本の超エリート集団がいる。一匹狼で、IQの高い彼らは、最初から欠点を見抜いており、戦略的に攻略する以前に、ゲームをしない選択をしていた。

【破綻しているゲームなら継承はされていない】

公園を再現

ラボにセットを作り、研究員に缶蹴りをさせて検証することにした

やはり、誰も鬼をやろうとしない

「We're not going to be fooled.(俺たちは騙されないぞ)」

「そう言うだろうと思ってたさ。さて、この空き缶だが、研究室のミス香織が飲んだモノを提供してもらった

ー鬼の希望者が殺到したー

(彼らの争いは、罵り合い、殴り合いに発展した)

ロバート教授が缶を蹴って、ゲームがスタートした。

皆が一斉に隠れたが、鬼はいつまでも経っても探しに来ない。

鬼は缶を持って逃走していた。

ー検証は中止となったー

『ロバート教授のレポート』

「缶蹴り」とは人類には早すぎる高度なゲームである。

このゲームを成り立たせるのは「個」ではなく「集団(組織)」である

「缶蹴り」とは、「じゃんけん」という公平な方法で不作為に鬼を決め、鬼の能力に合わせてゲームが成立するように皆が協力し、同調する訓練なのだ。

日本は農耕民族であり「和」を尊ぶ。「個」では力を発揮しないが、「集」になると強烈で強靭な「個」を形成させる

特定の宗教を信仰しない彼らの倫理やアイデンティティーは伝統の行事、祭り、遊びで継承されていく。通過儀式を行わない者は、我をコントロールできなくなり暴走する

ー「缶蹴り」が無くなった時、この国は何かを見失うだろうー

ロバート教授は、レポートを書き終えると、直前ですり替えた空き缶を手に取った。


たらはかにさん、いつもお世話になっております。


※このショートショートは私の妄想なので、実際の「缶蹴り」とは関係ありません。

今回の裏お題は、一度ボツにしたものです。

理由は

  • 文字数オーバーが酷すぎ(いまさら)

  • 私自身が「缶蹴り」に疑問を持っていた

  • noteを読んでる、ちびっ子が缶蹴りを嫌いになると困る

  • ルールに地域差があると話が伝わらない

ですが、改めて調べてみると、ルールが統一化されていたり、アレンジする楽しみ方もあったんですね。

noteを読んでる ちびっ子のみんな!

缶蹴り楽しいよ!

使用した空き缶はゴミとして処分するのがマナーだから、忘れずにね!


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