【毎週ショートショートnote】お題:「逢いたい菜」
「キャベツ1玉が1万円を超えました!」
安い時は100円、高くて400円だったキャベツの値段はいっきに高騰した。
キャベツは高級食材となった
<逆お好み焼き「キャベツ1:小麦粉9」>
⇒ホットケーキをお好み焼きソースで食べている感覚に近い
<逆ロールキャベツ>
⇒キャベツで肉を巻くのでなく、肉の中にキャベツを一つまみ入れる
庶民は、ささやかな工夫をして乗り切っていたが、値段が1玉100万円を超えてくると、政府はキャベツを絶滅危惧種Ⅱに認定して一般の流通をストップさせた。
キャベツは金と同じ扱いになり、裕福層の資産や企業間交渉の取引の材料となった。庶民の前から消えたキャベツは、幻の食材として「逢いたい菜」と呼ばれるようになる
⇒需要があれば供給が生まれる
<新たなビジネスが大流行!>
・今がチャンス!キャベツ農家の道
・キャベツ資産の投資・運用の仕方
・自宅のお庭でできる副業キャベツ栽培
<2年後>
休日の朝、キャベツご飯を食べていると、会社から電話が掛かってきた。
「人手が足りないから、すぐに応援に来てくれ!」
私は急いで会社に向かった。
公園では、子ども達はキャベツの帽子を被り、おやつのキャベツを丸かじりしていた。
供給過多となり、今やキャベツの値段は大暴落した。値崩れを防ぐためにトラクターで潰されるキャベツもあった。
「お前は幸せものだな」
私は道端に生えていた「野良キャベツ」に声を掛けた。