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【毎週ショートショートnote】お題:「豪華絢爛仕事納め」(957文字)
<とある国のある会社のお話>
その会社の経営は危機に陥っており、現場は人手不足で悩まされていた。
少ない人手に、忙しい仕事。
社員は有給休暇どころか休みを返上して働いていた。
そんな会社でも年末の仕事納めには、社長が考えた社員慰労の唯一のイベントがあった。
それが「仕事納めくじ引き」である
このくじ引きには引換券が必要となる。引換券1枚は、有給休暇の1日と交換するのだ。数々の景品もあったが、どれも1日分の有給の料金の半分にも及ばない質素な食料、酒であった。
社員はどうせ使わない有給休暇なら、引換券にした方がましだと考えている者も多かった。景品の1位は「家族で海外旅行5泊6日の旅」であったが、かって当たった者は誰もいない。
<ある年の仕事納めの日。社長がくじ引き場で待っていると、1人の従業員、トムがやってきた>
「私が全従業員の有給休暇を預かりました。全てを引換券に交換します」
社長は青ざめた。
トムは全ての引き換えを券を購入し、くじを引き続ける。当たった景品の食料と酒をテーブルに並べていった。
他の従業員は、1等が当たるのを固唾を飲んで見守っている。くじは最後の1枚となった。
つまり、最後の1等しか残っていない。
トムが最後のくじを引いたとき時、社長が叫び出した「お願いだ!待ってくれ!」
トムはくじを開けた瞬間に、皆には見えない様に両手で握りしめた。
トム:「最後の1等が当たりました!家族で海外旅行5泊6日の旅ですが、このくじは皆さんの有給休暇を預かった当たりであり、私のモノではありません。私はこの権利を放棄します。替わりに全従業員が年末年始を家族で過ごせる休みを2日だけ要求します。どうです、社長?」
社長:「そ、それでいい」
トム:「皆さん、仕事で忙しいのは不幸ではありません。仕事が無いことが一番の不幸なのです。苦しい時こそ社員が一丸となって会社を支える時ではありませんか?」
「今日は当たった景品を分かち合って、みんなで盛り上がりましょう!」
社長:「すまん、許してくれ」
ーそれから、社長は社員の待遇を良くして、人員を増やしていった。社員の士気は上がり、優秀な社員が集まり始め、少しずつ会社が発展していったー
「うちの会社って、いつも仕事納めは豪華絢爛なパーティするよな」
「いつも置かれている『くじ引きのオブジェ』はなんだろうな」
お題1【決闘年越しそば】
お題2【豪華絢爛仕事納め】
お題2つなんて!年末年始は忙しいし1つでも大変なのに書けるわけないじゃないですか!
……そうですか、昭和の「押すなよ押すなよ」ってやつですね。わかりました。そんな皆様にはこちらを。
裏お題【手加減無用鍋】
おまけ
会社の忘年会のビンゴ大会でハーゲンダッツギフト券が当たりました~
家族が大喜びです~こりゃ 嬉しい