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宇宙衛星用太陽電池(半導体材料)について

人工衛星を運用する際に必要となる電力を得るための「太陽電池セル」ですが、その材料には3JGaAs、Si(シリコン)、CIGSなど様々な種類が存在します。当該分野は「ド」が付くほどの素人ですが、アウトプットのため直近調べたことを纏めてみようと思います。(間違いがあるかもしれませんが、そこはご愛嬌ということで…!)

宇宙用の太陽電池は地上用のものとどこが違うのか


太陽電池に使われる半導体材料には、シリコン(Si)や、ガリウム砒素(GaAs)などの化合物があります。現在、主流はシリコンですが、同じシリコンでも製造方法により、単結晶、多結晶、アモルファスがあり、材料によりそれぞれ異なった特長を持っています。

現在、主流はシリコン(Si)ですが、同じシリコンでも製造方法により、単結晶、多結晶、アモルファスがあり、材料によりそれぞれ異なった特長を持っています。

宇宙用としては、エネルギー変換効率14.3%、単結晶化合物(GaAs系統)系で17%~18%のものが実用化しています。地上用では、太陽電池内部で入射した光を反射させるなど工夫を凝らして、エネルギー変換効率20%を超える物も開発されています。

太陽光セルの種別や製造において以下の論点を押さえる必要がありそうです。
l  熱光学特性
l  耐放射線性
l  耐環境性
l  高信頼性

また、地上の太陽光セルと比較し、宇宙で利用するためには、放射線遮蔽のためのカバーガラスや、セル同士を繋ぐためのリボン、ガラスとセルの接着などの工夫が必要となってくるようです。

一方で、宇宙だからと言って全ての太陽光セルが同じ考え方で具備されているわけではありません。SpaceXのStarlinkはSiを利用していると言われています。Siは耐放射線能力でCIGSに劣るため、耐放射線のためのカバーガラスをつけるのが一般的なようですが、Starlinkでは安価に済ませるためにカバーガラスもつけていないと言われています。経営思想に応じて選ばれる種類も変わるようです。

CIGS(”シーアイジーエス”)とは

CIGS系太陽電池は、最近実用化がはじまったばかりの、新顔の太陽電池です。薄膜シリコン同様に薄膜太陽電池の長所を備えながら、より高い変換効率が期待できる太陽電池として期待されています。

CIGSは、Cu,In,Ga,Se(銅、インジウム、ガリウム、セレン)の4つの元素の頭文字をとったものです。CIGS太陽電池はシリコンの代わりに、この4つに代表される元素を混ぜ合わせて使います。これらの元素を混ぜ合わせた化合物は、シリコン同様の半導体になります。加えて、結晶シリコンに比べて光を吸収しやすく、太陽電池そのものの厚みは2~4μm程度で済むと言われています。また、この太陽電池の特徴として宇宙空間における放射線に強いという性質もあり、衛星への具備が期待されています。

CIGS太陽電池は現在のところ効率8~12%程度の性能のものが市販されていますが、研究レベルでは効率20%程度のもの確認されています。また薄膜太陽電池ですので、量産規模の拡大によるコストダウンの余地も大きいと期待されています。

なお、CISと呼ばれる、銅銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)の3つを主な原料とする化合物半導体も使われています。

GaAs(ガリウム砒素)とは

GaAs(ガリウム砒素)はIII / V族半導体の一種であり、シリコンに比べて高い電子移動度と高い飽和電子速度を備えています。ガリウムのヒ化物であり、組成式はGaAs。化合物半導体であるため、その性質を利用して半導体素子の材料として多用されています。

変換効率は30%と、Si系太陽電池の2倍近くと高いものの、製造コストが高価であるという特徴があります。価格は1W当たり約5000~2万円。一方、大規模太陽光発電システム(メガソーラー)などに用いられているSi系太陽電池は同50円前後であることから、実に100~400倍になると言われています。

3J GaAs

GaAsの太陽光セルはトップセル、ミドルセル、ボトムセルと、多階層になっています。このように階層が3つ連なっているGaAsの太陽光セルを3J GaAsと呼ぶそうです。トリプルジャンクションなどと呼ばれることもあるようです。

またこのようなボトムセルを、高価なGe(ゲルマニウム)からCIGSなどに変更するようように、セルの階層を剥がし接合する技術、反転型メタモルフィック多接合(inverted metamorphic multi−junction:IMM)なる技術も存在するようです。ボトムセルのGeは昨今の地政学リスクの高まりによって中国からの輸入量が減っており、今後価格上昇の可能性を秘めているようです。

結晶Si(シリコン)とは

結晶Si太陽電池(セルおよびモジュール)は,長い開発の歴史に基づいた高効率,高信頼性という特徴に加え,近年発電コストが大幅に低減したため,大規模な発電施設から工場や住宅の屋根まで幅広く用いられるようになりました。世界の太陽電池の導入量は1 TWを超えているが,その約95%は,結晶Si太陽電池で占められていると言われています。太陽電池モジュール(パネル)の標準的な構造は,ガラス/封止材(主にエチレン酢酸ビニル,ethylene-vinyl acetate: EVA)/セル/封止材(主にEVA)/バックシート(またはガラス)です。発電効率は17%程度。

太陽電池パネル(Solar Array Panel, SAP)とは

衛星に搭載される太陽光パネルは、英語でそのままですがSolar Array Panel「SAP」と呼ばれます。上記の材料はこのSAPメーカーや衛星インテグレーターに販売される流れとなっています。


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