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Photo by
achanmemory
行き場のないこの手は、気づけばまた、カップに延びている
目を開ける。
目を閉じる。
再び開いた目に映る時計の針。
思わず飛び起きる癖さえも抜けた
8日目の昼下がり。
いつもは出しっ放しのよそゆきのヒールも
今は靴箱で惰眠を貪っている。
優雅なブランチとは似ても似つかない
食べかけの出来合ものが喉元を過ぎたころ、
ゴミ出しを忘れていることに気づく。
ビンや缶の詰まった袋を手に
軒先に出た私の眼に映る
荒らされた袋と幾羽かのカラス。
「そっか、火曜日か。」
この時間であれば得意先に
少し高めの声を届けるはずのこの口は
時折行き来するカップのふちの
相手をするのに忙しい。
気づけば空で歌えるようになった
J-POPの新曲と一気見した映画のDVDだけが
ループして傾く太陽の影。
有り余った時間は
容量オーバーの不平不満不安を
吐き出させるには十分過ぎて。
休まる身体と安まらない心。
減りゆく収入、増し増す支出。
"あやふや"と"うやむや"のこの世の中で
私が掴める確かな温もりに、
今日もこの手は吸い寄せられて。
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