#リバ邸十三
「ありがとう」のその先のこと。
5文字に込められた想いの丈を
どれほどキミに伝えられるだろうか。
思えば空梅雨のあの日から、
早くも10月もの朝を迎えてきた。
おはようからおやすみまで。
そんな歯磨き粉メーカーの言葉に頼らなくとも
感じてきた当たり前のような日々。
今更のように溢れてくる想いは
たった5文字に収まるほどのものではなくて。
明後日の今頃にはもうここにはないそれは、
静まり返る夜に、鮮明に、優しく語りかける。
揺らぐ日常の中で、だれもが確かさを求めずにはいられない。
刻々と更新される感染者数。
次々と消えていくマスク、消毒液、
トイレットペーパー。
些細なはずだったそれに、
いともたやすく生活が脅かされてゆく。
「なんて脆い砂のお城に
住んでいたのだろう」と
嘆きに満ちた感情さえ押し寄せてくる。
当たり前にあったこのリバ邸十三
という名のマンションの一室も、
4月12日には、さようなら。
知っていたはずの別れがこんなにも、
心に穴を開けるとは思わ