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嫉妬する女

職場の先輩から嫌われている。何となく、嫉妬されている気がする。
しかし、何に嫉妬されているのかわからない。先輩は私より美人で、キャリアもあって、結婚して子供もいる。
それなのに、上司が私に仕事を頼む度に「何で私に頼まないのかな」とイライラしたり、自分の机の日当たりが私より悪いと文句を言ったり(自分が選んだ場所なのに…)、他の人には元気に挨拶するのに、私にだけ挨拶をしなかったりする。

女の人間関係をややこしくするもの、それは「嫉妬」だ。

女に生まれて38年。経験から言って、女の人間関係で生まれる苦しみのほとんどが嫉妬だと言っても過言ではない。男だって嫉妬するが、女の嫉妬はもっと気軽に存在して、わかりにくい。

例えばよくあるシチュエーション、職場に新入社員の女性が入ってきた。男性社員は珍しさで話しかける。それを見てイライラする。あれこれ難癖をつけて、いじめて、追い出す現場を見たことがある人は多いだろう。

この場合、「若い」「出そうな芽」が嫉妬の原因になっている。新人にはそれがわからない。何か自分に原因があって、冷たくされているんだろうと、真面目な人ほど考える。

女性の嫉妬が複雑なのは、「自分は嫉妬などしていない」と本気で思い込んでる。又は隠せていると思っていることだ。嫉妬は醜いということをわかっているから、認められないのだ。

「自分のイライラには正当性がある」「イライラさせる相手が悪い」と思っているので、例え上司が諌めたとしても「彼女は仕事ができないので、教育として」「受け取り方の問題」と、「私も努力してるんですけど…」と、被害者のようなスタンスを取ることもある。イライラした態度丸出しなのだが、「何も言ってないのに部下が萎縮するんです」と、本気だ。

世の上司は「できないやつ相手だとイライラすることあるもんな…」と思うかもしれないが、イライラの原因は仕事ではないので、新人はいくら仕事を頑張っても、結果を出しても状況は改善しない。頑張れば頑張るほど、嫉妬は膨らむ。

男性にもわからない。なぜそんなに部下を嫌うのか?と不思議に思う。

これが、男性なら怒鳴ったりいじったり、パワーでマウントを取り合うのだろう。男性のいじめは、あくまで自分の強さを見せつけるためなので力関係がわかりやすい。

女性は、優位に立つことの危険性も理解している。ロシアがウクライナを攻撃すると、周囲はロシアを非難するだろう。強い者が弱い者を一方的に攻撃すると、孤立する。女性にとって、孤立は何より恐ろしいものだ。孤立を貫くには、圧倒的に強くないといけない。ロシアにはなりたくないのだ。気づかれないように、攻撃を仕掛ける。

水面下の攻防では、何が起きてるのかわかりにくい。「両者が被害者だと言っている」「女性の人間関係は難しい」ということになる。そして、新人は戦いに疲れて辞める。

本当によくあることだが、追い出された方はたまったものではない。就職難の時代に苦労の末就職したのに、くだらない理由でファーストキャリアを潰される。

転職だって、前職を短期間で辞めたとなれば不利になる。それでも無事に辞められればいいほうで、大抵の場合戦いを終えてからの撤退のため、メンタルになんらかのダメージを受けているため回復に時間がかかる。

メンタルの回復は見た目にわからないからそんな簡単なものではない。徐々に回復するにせよ、「こんなに仕事休んでて、何もできない自分」に自己肯定感が下がり、より悪化することもある。

私を前職場に引き留めていたのは、「結局残った方が勝ち」と言われたことだった。「辞めたら相手の思い通りだ。他人を陥れた人間が勝つ世界なんて間違ってる」という気持ちがストッパーになっていた。

だが、そういう人は、大抵今までも同じようなことをしてきている。その存在を許容し続けてきた会社である。今直接手を下している先輩と離れたとしても、その背景には似たような構造が何重にも重なっている。その先輩も、かつてはそうされてきたのだろう。
それに気づかない人たちが作った組織、それは少しずつ歪んで、末端にエネルギーが溜まってくる。それが今見えいる世界だ。苦しいのはその歪みに合わないパズルピースだからだ。

そんな場所で頑張っても、そのうち合わないピースはいずれ壊れるだろう。だったら壊れる前に、自分が合う世界に移動するのが良いと思う。

身体は壊れても回復するけど、精神は一度壊れたら数年単位で回復に時間がかかる。そんなことに時間を使うくらいなら、精神を守った方がいい。

ただ、この記事内ではステレオタイプに「女性は」「男性は」と書いたが、もちろんそうでない場合も多いと思う。近年女性の嫉妬理由が「異性関係」より「仕事で成長機会を与えられる」のほうが上だったという調査もある。

時代はどんどん変わっているので、女性のステレオタイプも変化していくだろう。しかし、まだまだ旧態依然の部分も多いだろうし、女性が集まった時に発生する問題を無視することは根本的な解決を遠ざけるものだと思っている。

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