他者を許せない「正義中毒」の人の心理
特定の人を許せないと強く反応してしまう人がいます。
誰にでもイライラするような短気な性格というわけではなく、「許せない」と思う相手に対して自分の怒りをコントロールできなくなってしまうのです。
どうしてそのような心理が生まれてしまうのでしょうか。
脳科学者の中野信子さんが『人は、なぜ 他人を許せないのか?』という本を出されています。
その中では、近年普及しているインターネット、SNSを通じた「炎上」が生まれることについて、問題の当事者でもないのに、行き過ぎたコメントをする人について書かれている。彼らの指摘は間違っていはいない。だが、それをわざわざ全世界の人々が見られる場で、そんな攻撃的な言葉で叩く必要があるのか。そのような状態を「正義中毒」と中野氏は読んでいる。
この「正義中毒」の怖さは、誰しもがその状態に陥るということです。
他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質のドーパミンが放出される。すると、罰する対象を更に探し始めるようになってしまう。
では、どのような心理状態の人が「正義中毒」になりやすいのでしょうか?
日本人は「自分は正しい」という意志が強くなりやすい
「許す」=「負けた」と感じてしまう
相手のことが羨ましくもある!?
他者を許せる人になるためには
日本人は「自分は正しい」という意志が強くなりやすい
日本人は自分の意見を飲み込むことが好ましいと考える傾向がある。それは日本が島国であることや、日本の独特な環境が関係していると考えられています。
日本は、古くから自然災害に悩まされてきました。そのため、環境に適応できるよう、長期的な予測をして準備を怠らない人たちが生き残ったと考えるのが自然です。
また、復興に向けて集団で協力することが常識であり、協力を拒んだりする人は、非難と攻撃の対象になってしまうでしょう。
このように日本では、個人の意志よりも集団の目的を最優先するようになっていったと考えられます。
そして、「自分は正しい」「社会的に考えてこれが正解」と思い込みが強くなりやすいのが日本人的な考えなのでしょう。
「許す」=「負けた」と感じてしまう
基本的に、他者を許せない人は上記のように「自分が正しい」という認識を持ってそれを伝えることもまた正しい行為だと思っている傾向があります。
そして、途中で自分が間違っているのかもしれないという疑念が生じたとしても、「相手を許す」ことは自分が行っていたことは間違っていたと認識する必要があります。そうした考え方は、相手に対して「負けた」と感じてしまうようです。
人とのコミュニケーションについて「勝ち」「負け」というのは本来ないはずですが、自分が間違っていた=負けたと意味づけしてしまう。
相手のことが羨ましくもある!?
「どうしてあの人は許されているの?」「私は一人で頑張ろうとしてるのに」「自分はこんなにも毎日我慢してるのになんであの人は自由に生きてるの?」「私はあなたのことを思って…」
とイライラを募らせていませんか?
これは、きっと自分が”出来ないこと”や”してはいけない”と思い込んでいることをさらっとやっているその人が羨ましい気持ちも反面的にあるのではないでしょうか。
人間は自分と似ている人がとても目に付き、行動や言動が気になるものです。
反対に自分とは正反対の性格の人を好む傾向があります。
なんとなく気になる存在、目につく存在、やりづらい人というのは自分の鏡なのかもしれませんね。
他者を許せる人になるためには
怒りが表出しているときは、盲目になり「自分のことが正しい」「なんでわかってくれないのか」と相手にベクトルを向けてしまいがちです。
少し気持ちを落ち着かせて、メタ認知の視点で見てみると自分が周りからみたらどう見えるのかを客観的に感じ入ることが出来ます。
メタ認知とは、自分を外から客観的に見るということで、幽体離脱のイメージに近いかもしれません。
自分が他者と関わっているとき、”どんなことを言ってるのか””どんな行動をしてるのか””相手は自分に何をいってるのか”など外から映像を見るように振り返るのです。
そうすると自分の認知がいかに一方的なもので、偏っていたのかを感じることが出来るでしょう。
または、相手がいかに一方的な態度で圧迫してきているのかわかります。
ようするに、自分と相手がどういう反応をしてるのか把握できるということ。
それを繰り返すことで、自分が他の人に対してどのように接しているのか、それが本当に正しい行為なのかを客観的に振り返るスキルが身につきます。
最後に
メンタリストのDaigoも動画の中で話していたが、人は誰しもストレス禍に落ちいることにより一時的にIQが急激に下がるということがあるそうです。
そのようなときには、客観的な視点が持ちづらくなり、「偏った」「一方的な視点」から正義を振りかざしてしまうのかもしれません。
自分はそんなことはないと思っているあなたも、状況によっては起こりうることなのです。
いつもメタ認知を意識して、冷静なメンタルを保てる人でありたいですね。