妻に祝われる5回目の誕生日
7月1日、僕は35回目の誕生日を迎えた。
この日はいつもよりも仕事をおさえ、妻の職場近くまで行ってランチを一緒に食べた。朝「いってらっしゃい!今日も頑張ろうね」と伝え合った妻とお昼に会うのは新鮮だった。
予約時間、僕が先に席につく。まだ誰もお客さんがいなくて、店内はしずまりかえり、外からの雨音がよく聞こえた。
5分ほど経って、妻が小走りでやってきた。毎日顔を合わし、見ているのだけど、目の前に立つ妻はとても美しくて僕は照れた。
僕がオーダーしたのは、ハンバーグ。とろけるチーズとトマトソースのトッピングが美味しい。
妻はチキン南蛮を頼んでいた(写真はない)。
妻からは、「お誕生日おめでとう!いつもありがとうね。これからもよろしく」とお祝いの言葉をもらった。
嬉しかった。
最高に嬉しかった。
心から愛し、また愛される女性がこの世にいることが、こんなにも素晴らしいことなのかと僕はあらためて思った。
妻が僕の誕生日を祝ってくれたのは、今年で5回目だ。1回目は4年前、2015年のことだ。雨音を聞きながら妻と食事をしているとき、僕は当時のことを思い出した。
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2015年7月1日、当時住んでいた新丸子(東横線「武蔵小杉駅」の隣)は雨だった。しかも、けっこう強めに降っていた。僕は体調不良のため6月中旬に退職しており、ひとりぐらしの部屋で療養している時期だった。
誕生日は普段よりもなんだか気分が上がるもので、調子がよかった僕は傘をさして外出し、新丸子駅方面に向かった。その途中で、そのときには近所の顔見知り程度だった妻とばったりと出会った。商店街のかわしん(川崎信用金庫)前だった。
当時、僕は妻のことを特段意識していなかったが、誕生日に知っている人に会えたことは嬉しかった。妻とは何を話したがよく覚えていないが、少しだけ言葉を交わしてバイバイした。
そして翌2日の夕方、僕はすき家で夕飯を食べるために外出したのだが、その途中で、再び妻と出会った。綱島街道という大通りをはさんで、僕と妻は軽く会釈をした。信号が青に変わり、横断歩道の途中で挨拶をしたのだが、このときに妻から食事に誘われた。
「そのべさん、昨日誕生日でしたよね」
なぜ知っているのか、僕は驚いた。その理由は、当時書いていたブログ(現在は削除済)だ。そこで7月1日が誕生日であることを僕が書いていて、それを妻が読んでいたのだ。
その後、妻から「お祝いをしたい」と食事に誘われ、僕は嬉しくて舞い上がった!
向かった先は、新丸子の隠れ家カフェ「hanaCAFE nappa69」。僕がよく通っていたカフェだ。
妻とは前菜とオムライスを一緒に食べたが、僕は緊張していて味はほとんど覚えていない。
そして、ここで妻がサプライズでプレゼントをくれた。お花だ。
(ケーキのお皿に名前を書いてくださったのは、店長さんのお気づかい)
道でばったり会ってからお店に行くまでの短時間に、わざわざ花屋さんで買ってきてくれたのだ。妻の気持ちが嬉して、僕は泣きそうになった。
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いま振り返ると、この日一緒に食事をしたことで、妻と僕の関係は急に近づくことになった。妻曰く、「好きだと勘違いされると面倒だったかど、お祝いはしたかった」とのこと。確かに妻の態度はよそよそしかった。
いまでも部屋に花を飾る習慣はあるが、まだ付き合う前から「花」は僕らの間になくてはならないものだったのだ。
このときは、まさか翌月に交際が始まり、同じ年の12月に入籍をするとはお互いに夢にも思わなかった。
最愛の妻に出会えたこと、そんな妻との間にかわいい息子ができたことに感謝しながら、僕は最高の誕生日を過ごした。
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