量刑メモ

[検討プロセス]
①社会的類型の決定

②犯情(行為態様・結果・動機)

→ a)犯罪の客観的な重さ  b)被告人の意思決定に対する非難の程度 という2つの視点をもとに検討する。

③一般情状

[注意点]
ア 社会的類型や事実の存否(ex.3回殴ったのか、それとも1回殴ったのかにすぎないのか)を争うなら、否認事件と同様に証拠を引用し議論するというステップを踏む。

イ 犯情事実に争いがない場合にその評価を争う場合、単に「この行為は悪質である」「この行為は悪質でない」と議論しても水掛け論になってしまう→同種犯罪類型の中で比較する必要がある(ex.同種犯罪類型の中には刃物等の凶器を使ったものもあり、凶器を用いていない本件は当該類型の中では必ずしも悪質とはいえない)。

ウ 主観面と客観面の検討を完全に分断しない。上記②犯情の中では、客観的な重さと被告人に対する非難の程度という2つの視点からの検討が必要だが、たとえば被告人への非難可能性を考える上でも、犯行前の被告人の言動や犯行行為そのものから動機を解釈することになる。aとbの検討要素は重なり合うことを念頭に置いて論述する必要がある。

エ 犯情は犯罪行為それ自体に関する事実、一般情状は犯罪事実それ自体に関わらない事実だが、犯情なのか一般情状なのか判然としない事情はある。検討プロセスにおける絞り込みの順序からして、一般情状はあくまで犯情で決定された刑の幅の中でしか意味を持たないのだから、犯情で論じることができるものは犯情で論じるべきである。たとえば、被告人の生育環境が犯行に至った経緯と密接に関わる場合、その生育環境とそれが及ぼした影響は犯情で論じることを検討する必要がある。

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