
「1ポジジョンだけで弾く! 20 」カルリ作品 36番! ホ短調! 非和声音の呼吸
カルリの作品シリーズを挙げてきて、20弾まで来ました。
できれば全ての作品は、初見で楽しんでください。
ある部分だけとってじっくり練習するのは、あまり効果がありませんが、
慣れないうちは、そういった練習もしてみてください。
前回の2作品と違って、ギュと短い作品です。
この作品では、非和声音の表現に気をつけて演奏してみましょう。
鼻を整える
まず非和声音の表現は、この作品の4小節目にあります。
冒頭『ソ』は膨らます、そして『ファ♯』で収縮させるイメージで
肺をそのようにして、身体で模倣してみましょう。
それは呼吸がつかさどると思います。
僕は演奏のために、鼻の通りはいつも問題なくしています。
呼吸は全ての行いに重要です。しかし意識して行うのはよくありません。
非和声音はいつも身体全体で表現します。
非和声音がドラマを生む
非和声音は色んな呼び方があるようですが、
この部分は掛留音(かかりゅうおん)なんて言い方があります。
要は相性の悪い音が濁り、それが相性の良い音に戻り、響きが調和する現象。
和声音は、相性がよいに属する音。 非和声音は属さない音です。
下から3弾目の3小節のバスのラ♯も、経過音(けいかおん)という非和声音。
非和声音が音楽に問題を起こします。
それが解決に向かう中で、ドラマを生みます。
非和声音が音楽の推進力といって間違いありません。
テンポはゆったりと歌う。
この作品の曲想は、ラルゲットという指示があるので、
ゆったりすこしだけ重たく感じ、歌を大切にしましょう。
拍子記号は4分の2だからといって、2拍子でとるのは間違いです。
2拍子で書かれていても、この作品はまずは1小節に4つの鼓動で感じてみてください。
そうするとしっかりした基盤(ファンデーション)ができます。
拍子記号は演奏表現とは本来関係あるものではありません。
たまたま一致する場合がある。ぐらいに思っていて問題ありません。
歌のリズムは、そのような拍子の固い鎖にかけるのを拒みます。
あくまでも最初はそれを頼りにして、響きを聴きながら、曲想を感じ
あなたの心地良い感覚で演奏して欲しいと思います。
カルリの音楽は本当に示唆にとんでいて、気楽に演奏するのに持ってこいです。
No.36 Larghetto