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Effectuation視点で見た「マイクロソフト戦略転換の研究」

こんにちは、広瀬です。前回書いた「マイクロソフト戦略転換の研究」の続編です。「マイクロソフト戦略転換の研究」を読んでないと、理解が難しくなるかもしれませんので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

今回は、私の個人的な見解が多分に含まれますので、「こんな見方もできるのか」程度に気軽に読んでいただければと思います。私としては、「あながち的外れでもない」という感触を持っていますが、皆さんはどう思われるでしょうか?

マイクロソフト戦略転換の5つの原則

マイクロソフトの変革は、Effectuation(エフェクチュエーション)の観点からも興味深い考察が可能だと考えられます。Effectuationとは、起業家やリーダーが不確実な状況下で、手持ちの資源を活用し、周囲の人々との相互作用を通じて、新たな機会を創出し、目標を達成していくプロセスを指します。マイクロソフトの変革においても、Effectuationの5つの原則が見て取れます。

1.Bird-in-Hand(手中の鳥)

CEOのナデラ氏は、既存のWindowsやOffice製品の強みを活かしつつ、クラウドサービスという新たな事業領域に挑戦しました。これは、手持ちの資源(既存事業の技術や顧客基盤)を最大限に活用するというEffectuationの原則に合致しています。

2.Affordable Loss(許容可能な損失)

クラウドサービスへの投資は、多額の費用と時間が必要となるリスクの高いものでした。しかし、ナデラ氏は、失敗した場合でも許容できる範囲のリスクを設定し、段階的に投資を進めたことが伺えます。2008年にWindows Azureを発表し、2009年に一般提供を開始。ここからマイクロソフトはクラウド市場に本格参入し、段階的に規模を拡大し、2015年に本格的にクラウドサービスへと舵を切っています。

3.Crazy Quilt(クレイジーキルト)

マイクロソフトは、オープンソースコミュニティやLinux Foundationなど、従来は競合とみなされていた組織とも連携し、エコシステムを構築しました。これは、多様なステークホルダーとの連携を通じて、新たな価値を創造するというEffectuationの原則に合致しています。

4.Lemonade(レモネード)

マイクロソフトは、モバイル市場でのWindows Phoneの失敗を教訓として、クラウドサービスに注力する戦略へと転換しました。これは、予期せぬ出来事をポジティブに捉え、新たな機会へと転換させるというEffectuationの原則に合致しています。

5.Pilot-in-the-Plane(飛行機の中のパイロット)

CEOのナデラ氏は、未来を予測するのではなく、自らの行動によって未来を創り出すという信念を持っていたと考えられます。「成長思考」を社員に促し、変化を恐れずに挑戦する文化を醸成することで、組織全体を新たな方向へと導きました。

まとめ

これらの原則を踏まえると、マイクロソフトの変革は、不確実な未来を予測し、計画に基づいて行動するのではなく、手持ちの資源を活用し、周囲との相互作用を通じて、新たな機会を創出し、未来を形作っていくというEffectuationの考え方と合致していると言えるでしょう。

この事例は、日本企業にとっても重要な示唆を与えてくれます。変化の激しい現代において、未来を予測することは困難です。しかし、自社の強みを活かし、周囲との連携を深めながら、柔軟かつ迅速に行動することで、新たな成長の道筋を切り開くことができるのではないでしょうか。

私は、Effectuation理論は新規事業の立ち上げだけでなく、企業の様々な局面に応用できる可能性を秘めていると考えています。

皆さんは、マイクロソフトの変革とEffectuation理論について、どのようにお考えになりますか? ぜひ、ご意見をお聞かせください。


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