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いつか また
おまえの夢をよく見る
何回見たかな
数え切れないな
おまえはいつも突然現れ
僕を指定席へと導いてくれる
右肘が常にドアに触れるあの感覚
窮屈な足下で 遊びなんかくそくらえ的なペダルたち
大事なものを抱え込むような姿勢で握るハンドル
ずっと眠らしてしまったな ゴメン
バッテリー上がってない?
オイルも足さないと だね
おぉ 一発でお目覚め
アクセルをレーシング
気持ち良く吸い込むキャブの吸気音
見た目以上にマフラーから豪快に出される音
あぁ 相変わらずいい音してんなぁ
地面との距離 近いなぁ
車内の振動 変わんないなぁ
さぁ~てと 久しぶりだ
どこ行こうっかぁ・・・
あれっ
そうだよ
何であいつに乗ってないんだ?
早く迎えにいかなきゃじゃん
このあたりで夢からさめる
夢現
「いかなきゃ」となる
それも悲しいかな
ほんの一瞬だけ
そっか 夢だったのか
でもほんとうにあれは夢だったのかなぁ
本当はおまえ
どこかに隠れてない?
そうであれば嬉しいんだけど
あれからもう30年以上経ってしまった
これまでいろんなもの手放してきたけど
おまえを手放したことは一番後悔している
おまえ どこかでまだ元気にやってるかぁ
いつの日か
また一緒に遊んでおくれよ
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