佐久間宣行のいやらしさ
佐久間宣行は、なぜテレビに出ているんだろう。裏方がテレビに出ると叩かれる、はずだったのに、なんだか意外と好意的。無理して叩く必要はないんだけど、こんな時代にしては叩く力が弱すぎる。
個人的には、裏方がしゃしゃり出てしゃべるのは、ずっとうっすら気持ち悪い。そこまでひどい嫌悪感じゃなくて、むしろ下手な芸人より見てられるんだけど。ときおり宣行からは、ただの裏方以上の、芸人とプロデューサーの力関係とか、テレビの見たくなかったタテ社会的側面が漏れでてくる。
youtubeでは、芸人を呼んで「おもしろいねえ」と、プロデューサーとして出演者を評価し、芸人が喜んで「次も呼んでください」的へりくだりを見せるんだけど、この上下関係がテレビであんまり映されてこなかったもんだから、まだ慣れない。番組つくってる側から見れば、当然のパワーバランスなんだろうけどさ。先輩後輩や、人気のあるなし、面白い面白くないのヒエラルキーは許せるんだけど、受発注の上下関係って萎えるよね。
「また呼んでください」と芸人が言うとき、芸人が得意先に呼ばれた下請け業者に見える。そう見えないように佐久間は下請けを立てる発言をしてバランスをとっている。宣行は呼んでやってる感をかぎりなく消してるんだが、芸人が「佐久間さんのおかげで出られております」という下請けスタンスをとるから、発注者側の権力がどうしても匂ってしまう。細かい話なんだけど、その瞬間が嫌。
ドッキリをかけられた若手芸人が「勘弁してくださいよお」とよく言ってるが、佐久間の番組では先輩芸人以上の「勘弁してくださいよお」を感じる。ささいなことだし、気にすることでもないんだけど、芸人が飼い慣らされた犬に見える瞬間がある。犬は言い過ぎか。世の中の権威を笑って噛み付くのが芸人だったのに、いまや牙を抜かれた芸人が「出してくださいよ」と列をなしている。
そんな芸人の擦り寄り傾向に佐久間も気付いてるはずだから、そろそろ芸人にがっつり噛み付いてもらったほうが、すっきりするんじゃないかな。でも、仕事くれる得意先に逆らうことのできるやつなんているのかね。芸人とは、それができる職業であることを信じたいが。
さて、きょうの音楽は、Pepsi CMの「We Will Rock You」。ターセム・シンによる流石の演出。やっぱり権力に噛み付く姿ってかっこいいし、スターはそこから生まれてくる。山本太郎も、石丸伸二も、蓮舫も、反逆することでそ注目を集めてきた。例えが悪いが。
佐久間宣行が芸人と仲よさそうにしゃべってるのを見るとき、社会でよくある「仲良いんだけど得意先なんだよな」という暗黙の上下関係を思い出す。
そんなとき、なんか会社みてえだな、と思って笑ってしまう。