社労士は『食えない』のか。
このワードで検索すると、上位に通信講座のサイトが並び
最終的に『食えます』と結論します。
食えないのか、で検索するということは
最初からネガティブなイメージがあるということ。
ネガティブなイメージがあるけど
興味が全くなければ検索しないから
それを覆して通信講座に誘導するわけで
至極真っ当なマーケティングです。
私の考えを結論から述べると
『社労士の独占業務を主軸としたビジネスモデル』は
後5年、遅くとも10年で限界を迎える、です。
独占業務は
第1号業務:労働及び社会保険に関する法令に基づいて行政機関に対する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書等を作成し、提出手続きを代行すること。
第2号業務:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成すること。
この独占業務はビジネスモデルとしては致命的な欠陥を抱えています。
それは語弊を恐れないなら誰でもできること。
提出手続きの代行を『業』とできるのは社労士だけ。
それでお金を稼ぐことができるのは社労士だけ、という意味。
しかし、別に企業内の人がやるなら『何の問題もない』です。
多くの社労士事務所で稼ぎの主軸としている給与計算も同様。
そもそも給与計算は独占業務ではないですが。。
これも給与計算ソフトの進化で、誰でもできます。
初期設定が面倒くさいですが。
書籍、インターネット…いくらでも調べる手段があります。
日本年金機構、e-Gov、ともに超絶わかりづらいですが、
そんな人のために社労士の方や人事経験者が情報発信してくれています。
誰でもできることにお金を払うのは、
早い話が手間賃とセーフティ。
まちがったときに社労士のせいにできる。
自社で調べたり、手続きしたりする時間を減らす。
BPOの一種と考えれば、人件費、教育採用費の削減の一環。
社労士としての能力の差は出ません。
社労士ならば誰に依頼したっていい。
資格を取ればだれでも参入できるということでもあり、
スタッフを増やして顧問数を増やせば売上増ものぞめる。
ただしそこに待っているのは果てのない低価格競争です。
社労士の顧問料と税理士の顧問料を比べる…
もしくは会計事務所と社労士事務所の求人を
未経験、同地域で調べてみてください。
圧倒的に社労士事務所・法人の方が条件が悪いです。
(全部ではないですが)
なんだったら、会計事務所1年経験者の条件と
社労士取得済み未経験の条件を見てください。
多分上記の方が給与がいいです。
これだと1年間社労士の勉強するより会計事務所で1年働いた方が
給与面では差が出るということです。
まあ、今は会計事務所も低価格競争ですが…
今は就業規則もAIで作れる時代です。
就業規則って記載事項が決まってますからAIの得意分野です。
Q&Aに応えていけば就業規則や社内規定が作成できる時代はすぐそこです。
就業規則も1発の売り上げが大きい書類作成業務ですが
すぐ1~2万円程度まで価格が下がると予測。
雇用関係助成金業務も独占業務の一つ。
売上は一発あたり大きいですが、
助成金は補助金と違って、条件がすべてそろっていれば支給されます。
ただし改廃が多く、これに頼るビジネスモデルは危険です。
顧問社労士がいる割合は3割程度なので
まだまだブルーオーシャン!て意見も散見しますが、
甚だ疑わしいです。
小さな会社や、スタートアップは社保・労働関連手続きが少ない。
10人超えて就業規則が必要になったり、
入退社が増えてきて、自社で賄えない場合は社労士が必要でしょう。
ある程度大きい会社になり、
経理部や人事部が存在するような会社は
給与計算や労働保険関連手続きを社労士に外注するメリットが
全くないとは言えないけど、低い。
そうなると3割『も』顧問社労士がついてしまっていると考えるべき。
以上の理由で、
社労士の独占業務で今からの参入は夢も将来性もないと考えます。
助成金バブルはこれからも偶に現れるとは思いますが。
では社労士の資格では『食えない』のかというと
そんなことはないです。
二つ道があります。
・勤務社労士
勤務社労士とは、特定の企業に所属して会社員として働く社労士のことです。自社内の人事や労務に関する仕事を担います。
原則、報酬を受けて他社の人事・労務を行うことはできません。
人事で働く人のキャリアアップとして。
また、社労士をスタッフとして雇えば、手続きも安心です。
ただし、これも求人を見ればわかりますが
経験者採用のみです。
そのため、資格を取って一発逆転とはなりません。
意外と知られていないのですが、
社労士法人の平スタッフは勤務登録で他社の人事・労務を行えます。
未経験よりは採用してもらえる可能性は高く、
年会費や登録費を持ってくれるところも多い印象です。
ただし、給料はお察し、です。
・開業社労士
『独占業務のビジネスモデル』が夢がないならば
『独占業務に頼らないビジネスモデル』
つまり3号業務、労務コンサルティングをメインにする。
労務問題は、ググっても正確な答えは出ません。
似たような事例は出てくるかもしれませんが、飽くまで似た事例。
他の社労士と大きな差を出せるならここで。
だからこそ、特定社労士は将来性があると思っています。
そして、高額報酬も狙えます。
まだまだブルーオーシャンです。
2022年3月31日時点で、社労士は全国に44,203人います。
開業している社労士が24,429人
法人の代表が3,354人
企業で勤務する社労士やその他が16,420人
労務コンサルにだけ特化している社労士事務所は少ないです。
・収入が安定しない。
・事務所を拡大できない(高難度業務のため、スタッフ教育が困難)
・労使問題の解決は精神的に辛いのでやりたがる社労士が少ない。
逆に個人として一発逆転を狙いたいなら、ありでしょう。
労務コンサルは社労士以外でもできます。独占業務ではないので。
ただし、労使問題の最前線の情報が常に入ってくるのは社労士会です。
そういう意味では最も頼れるのは社労士でしょう。
労務問題がある日突然無くなることは絶対ないです。
むしろ、時代を経るにつれ、法律が整備されればされるほど
それにまつわる問題が発生します。
それに特化した社労士の業務が尽きることもないでしょう。
ここに大きなチャンスがあります。
資格を取って、一発逆転。
社労士はその可能性があります。
さあ、頑張るぞ!