いろんなカタチ
「#家族とは#家族になるには」なんてかかれたアンケートを前にして、私は非常に困った。家族にはいろんなカタチがあるけれどそのすべてのカタチに共通する言葉を探していたんだろう、でもそれにしては「家族」が広すぎて難しすぎた。
5月31日、大橋香奈さんの民族誌的ドキュメンタリー「移動する家族」を見た。現代を生きる5人とその家族を切り取ったもの。国籍や家族と離れて暮らす背景・状況は5人ともさまざまで、家族との関わり方もさまざま。
その中で、日本の会社で働くイギリスの男性の話をよく覚えている。5人家族、両親以外の息子娘はみな日本を含めイギリス外で生活している。時差はもちろんあるがそれでも絶やさないのはビデオ通話だという。なかなかのハイペース、きっと些細な日常のことも話すのだろう。なので久々に帰国し実際に対面しても久しぶりな感じがしないという。この話をきいて、自分が留学していた時のことを思い出した。私は8ヶ月アイルランドに行き、その間に家族とLINEで連絡は取り合っていたが、電話は一度もしなかった。私もしようとは一度も思わなかったし、両親から促されることもなかった。別になんとも思わなかった。リアルタイムではないけれど、連絡は取れているし心配事はなかった。気にもとめていなかったが、ある日友達のブラジル人の子が親と毎日2回はビデオ電話していると言った。え。正直びっくりした。一度も電話してないというと、逆にものすごくびっくりされた。その時初めて、少し恥ずかしく思えた。きっと彼女からしたら私は薄情な奴に見えたかもしれない、ミナミは愛されてる?と心配されたかもしれない。きっとそう思われたと思ったことで私は恥ずかしくなったのだろう。私も彼女のことを私より年上なのに・・と思ってしまった。
私と彼女の家族への関わり方は全く違った。でもそれでなんにも違和感はなかった。今も、一度くらい電話しとけば恥ずかしい思いしないで済んだのになぁという後悔は全くない。それぞれが居やすいカタチであって、比べて悪いも良いもないのだと。だから「家族」は広いのだろうか。共通する言葉なんてないくらい、いろんなカタチがあるんじゃないか・・?そう思うと、あの時から抱いていた家族との関わり方への後ろめたさすこし晴れた。