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いじめが脳に与える深刻な影響
「いじめは絶対にダメ」という言葉。
でも、それは道徳的な話だけではなく、科学的にも明らかになっていることをご存知ですか?いじめは、被害者の心だけでなく、脳にも大きな影響を与えることがわかっています。そして、その影響は一生続く可能性があるのです。
研究によると、いじめを受けた子どもは、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が過剰になることが確認されています。コルチゾールが長期間にわたって高い状態が続くと、脳の中でも特に記憶や感情を司る「海馬」という部分が縮小する恐れがあります。海馬がダメージを受けると、記憶力が低下したり、不安感や抑うつ症状が増したりするリスクが高まると言われています。
また、脳の「扁桃体」という感情をコントロールする部分も、いじめの被害を受けることで過敏に反応するようになることがわかっています。この結果、被害者は過剰にストレスを感じるようになり、心の安定を保つのが難しくなるのです。これらの影響は、子どもの成長期に起きると特に深刻で、大人になってからも不安障害や抑うつなどのリスクが高まるらしいです。
いじめは、脳へのダメージを与え命を脅かす「犯罪行為」と言っても過言ではありません。ですから、いじめがもたらす影響について、保護者や教育者が知識を深めることも重要だと思います。
「いじめはダメ」と言葉で伝えるだけではなく、その理由や背景を知ることで、いじめを根本からなくす取り組みが必要だと思います。
そして、子どもたちが安心していじめを打ち明けられる環境を作ること、いじめが起きた場合には、学校や関係機関が速やかに対応する仕組みを整えることなど、大人ができることを実践していきたいと思います。
参考文献
Vaillancourt, T., Hymel, S., & McDougall, P. (2011). Bullying is Power: Implications for School-Based Intervention Strategies. Journal of Applied School Psychology, 27(4), 307–323.
Lupien, S. J., McEwen, B. S., Gunnar, M. R., & Heim, C. (2009). Effects of stress throughout the lifespan on the brain, behavior, and cognition. Nature Reviews Neuroscience, 10(6), 434–445.
Teicher, M. H., Andersen, S. L., & Polcari, A. (2002). Developmental neurobiology of childhood stress and trauma. Psychiatric Clinics of North America, 25(2), 397–426.