『ポートランド ーー世界で一番住みたい街をつくる』山崎満広/学芸出版社
今まで長々と本のレビューをインスタで書いていたのを、noteに変更することに。
「世界で一番住みたいまち」。自分のまちをそうしたいと思わない、まちづくり関係者はいないだろう。それって、どんなまち?と思って、この本を手に取った。
ポートランドが実現している「20分圏コミュニティのライフスタイル」を引用するので、生野区のみなさんに読んでほしい。
「車を使わず、徒歩や自転車、またはバスやライトレールを使って20分以内の範囲に仕事場があり、買い物ができ、 レストランやバーに行ける。20分圏内で普段の生活に必要なものが何でも揃うコミュニティが、ポートランド市内にはいくつも存在している。それらを公共交通でつなぐことにより、コンパクトで住みやすい街をつくりあげてきたのだ。」
ええやん、これ、生野っぽいやん!
生野区はもともと、製造業の数が大阪一多い「ものづくりのまち」。昔から、職住一体のまちだった。今は高齢者が多い「福祉のまち」としての職場も多い。
仕事場の近くに手ごろなファミリー向けの戸建てや、若者向けのワンルームマンションもたくさんある。人と違う暮らしがしたいなら、長屋をリノベーションして住むのも楽しい。おいしいお店も飲み屋も多い。
生野区役所の広報紙で毎月連載している『いくのdeリノベ』では、そんな個性的な暮らしを楽しむ人とリノベーション事例を紹介している。
また、シティプロモーションに取り組む仲間たちと、生野区を旅する「ご近所ツーリズム・らいくのくらし」を提案する取り組みも始めた。
私のおすすめツアーだけでも、まさに20分圏内で銭湯に入ってお好み焼き食べて、素敵な長屋で仲間と飲み、商店街をぶらぶらして買い物や交流を楽しめる。
※今後、このご近所ツーリズムはいろんな人が「マイツアー」を紹介予定。
そんな生野区のポテンシャルに「公共交通」が加わったら、もっと暮らしやすいまちになる。そう考えて、さまざまに取り組んできた。そして、BRTが走り、新たな交通も検討されている。
※またいずれ、この話はきちんと紹介します
ポートランドのまちづくりに学べば、「世界一住みたいまち」がぐっと近づく気がする。特に、新型コロナ禍で価値観の変わった今は。
オープンスペースの活用、個人単位で活動費を払って参加する住民自治システム「ネイバーフッド・アソシエーション」、公民連携専門機関の存在、起業カルチャーと支援の仕組み……。
参考記事の一つ。ネットの記事も拾いつつ、やはりこの本がよくまとまっているので、おすすめしたい。
行政区では厳しいな……(ポートランドは60万人都市)と思いつつ、できつつあること、今からでもやれることはいくつか拾える。
特にポートランドの新しい産業として盛り上がっている「小規模のものづくり、クラフト系のメイカー」を集めた展示会「POP UP Portland」なんて、今度11月21・22日にある「Creema✖️いくの みんなの文化祭」で実現しかけている。
しかも、行政ではなく生野のまちの力で!
この本の中ではレザーメーカー、ウッドフレームの自転車、木製のiPhoneケースがポートランドのメーカーとして紹介されている。
今度の生野のイベントでは、ランドセルメーカー、サンダルメーカー、ガラス切子や張り子細工と、同じように個性的なものづくり企業やクリエイターが出展している。
ポートランドはアウトドアメーカーも多く、職人をつないでコラボも行われている。あれ?この話、どっかで聞いたぞ!生野区の空き家シンポジウムで、生野区役所のものづくりコラボレーター、T課長代理が語ってたような……。
そんなわけで、この本を読んでる間ずっと「いや〜、生野区やっぱり『周回遅れのトップランナー』やわ〜」と喜んでいた区長であります。
根本的な財政問題、企業による投資、住民の年齢構成、空き家対策の課題など、現実的には程遠い面もあるが、ポートランドで愛されているこのスローガンを共有して終わりにしたい。
‘’Keep Portland Weird”
(変わり者のままでいようぜ、ポートランド)
今さら、高層マンションにショッピングモールの『同質性の高い街並み』ではなく。
‘’Keep Ikuno Weird!‘’