[OW2/翻訳] ターゲット・プライオリティは迷信?Spiloコーチが解説
Spilo氏の動画を勝手に訳しました。かなり意訳を含みます。端折ってる部分もあります。
元動画:You Don't Understand Target Priority in Overwatch 2
まとめ
先に結論だけまとめると、
「特定の敵を狙う」という意味でのターゲット・プライオリティは間違い
ポジショニング > ターゲット・プライオリティ
そのヒーローに適したポジショニングから撃てる敵を撃て
選択肢が複数あるときにターゲット・プライオリティが機能する
実際に動画を見ながらの方が分かりやすいと思いますが、後半は重複する内容が多いので全部を見る必要はないです。
抄訳
間違えて捉えていること(0:00~)
ターゲット・プライオリティ(目標優先順位)は、OWの座学において最も過大評価されている概念の一つである。それ自体は重要な概念であるが、重要視しすぎることでスキル管理や注意力、ポジショニングといった他の要素が犠牲になっている。ターゲット・プライオリティはポジショニングの結果として生まれるものである。
ポジショニング > ターゲット・プライオリティ
ターゲット・プライオリティは迷信(1:14~)
ターゲット・プライオリティはOW初期からある概念である。よくある例として「ゲンジは後衛を狩るのが仕事だから、タンクは無視して常に後衛に絡みに行け」という考え方がある。今回のキャッチフレーズをつけるなら
「(特定のターゲットばかりを狙うという意味での)ターゲット・プライオリティは迷信である」
今回の内容はこのキャッチフレーズの意味を補足していくことになる。特定のターゲットばかりを狙うのは危険だ。リソースの使い方が非効率的になり、より重要なことから目を逸らしているからだ。
正しいターゲット・プライオリティの手順は、
撃ちたい敵(ターゲット)を決める
そのターゲットを撃てるようにポジションを取りに行く。
その位置から、実際に撃つべき敵を撃つ
2のポジショニングをしている最中に、相手も位置を変えている可能性がある。その場合、3で撃つ相手が1で決めた敵と異なっても問題ない。無理に1で決めた敵を撃とうとすると、かえって危険な場合もある。
[例] トレーサーの場合:
撃ちたい敵:敵の後衛
後衛を撃てるようにショートオフアングル(近距離のオフアングル)を取りに行く。しかし、敵の後衛も移動しており、自分のポジショニングが完了したときには既に後衛はいなかった。
後衛がいないので、今いるオフアングルから一番撃ちやすいタンクを撃った。
良いポジションにいるのに、遠くにいる後衛を撃ちたいからといって、わざわざブリンクを使って開けた場所に移動する必要はない。しばしばポジショニングとターゲットを一緒に考えてしまうことがあるが、ターゲット・プライオリティはどのアングルを取るかの指針にはなるものの、ポジショニングより優先してはならない。基本的には撃ちたい敵を撃てるようにセットアップするものだが、アメフトのように臨機応変に対応することが求められる。
もちろん例外も存在する。良いポジションから撃ちやすいからといって、ディフェンス・マトリックスを張っているD.vaを撃つのは得策ではない。また、ウィンストンは近距離が得意で、バリアはスクイッシー(225族のような最大体力が低いヒーローの総称)に対して強力であるが、タンク相手には効果が薄い。ウィドウメイカーはワンショットキルの可能性があるため、タンク以外を狙った方が良い。しかし、大多数のヒーローにおいては、それぞれに適したポジションを取った上で撃ちやすい敵を撃つのが最善である。たとえそれがタンクであったとしても。
ゲンジの場合(4:36~)
ゲンジはショートオフアングルを保持したい。スクイッシーも狙いたいが、まずショートオフアングルを保持することを考える。パライソの第1ポイントの攻めでゲンジの得意な高低差を生かしたショートオフアングルを取るとすると…
たった1つのルール(5:10~)
アングル1の場合:
ここから誰を撃つべきだろうか。この質問の答えはここにいればわかる。イラリーを撃てるし、バスティオンも撃てるし、バティストも撃てる。大したことではない。ドゥームフィストだって撃てる。ターゲット・プライオリティが本当に大事なのは、スクイッシーとタンクの両方を撃てるときである。こういった場合のルールがある。
「スクイッシーを撃て」
このルールがあったとしても、スクイッシーを攻撃するためにこのショートオフアングルから離れることはしない。
アングル2の場合:
ではこのオフアングルを取ったとしたらどうだろう。私ならドゥームフィストを撃つ。後衛よりも近く、当てやすい位置にいるからである。
同様に、アングル3にいればバスティオンを撃ち、アングル4にいればリーパーを撃つ。
ゲンジの場合つづき(5:45~)
ターゲット・プライオリティとは、「アングルを取ってそこにいる敵を撃て」ということである。アングル2にいるときに「Spiloコーチがゲンジでタンクを撃つなって言ってたから敵の後衛を狙うわ」とするのはトロールである。ドゥームフィストがゲンジの有効射程範囲内にいるのだから、ドゥームフィストを撃てばいい、ただそれだけのことである。
パライソ第2ポイント:
基本的には直感的に撃てばよいが、タンクは当てやすいからといって、スクイッシーを撃てるのにタンクを撃つことに集中しすぎる傾向があることには注意が必要である。
パライソ第3ポイント:
「ゲンジやっててショートオフアングルを取っているのになぜタンクを撃つのか?」と聞かれることがあるが、トレーサーやゲンジがあえてタンクを撃ちに行っているわけではない。トレーサーやゲンジは他のDPSと違い、リスクを抑えながらオフアングルを取るのに適している。そのヒーローがどこにいるべきかがわかったら、そこから撃てる敵を撃てばよい。ハイレベルな試合でトレーサーがタンクを撃つのはよくある光景であるが、「プロの試合なのになぜトレーサーがタンクを撃っているのか」とDMが視聴者から送られてくることがある。その試合のリプレイを見てみるとすぐに理由がわかる。トレーサー以外のDPSがそのアングルを取っていたら、敵に追いかけ回されて倒されていただろうと。
上の図の状況で、赤チームのゲンジはドゥームフィストとDPS/サポートのどちらを攻撃すべきだろうか。答えはDPS/サポートである。なぜなら、近くにいるからだ。直感的にわかるだろう。ドゥームフィストは遠くにいる。仮にドゥームフィストが同じ距離にいたとしても、スクイッシーを優先するというルールがあるため、答えは変わらない。実際には、ゲンジがドゥームフィストを追ってしまったことでエリアを明け渡し、さらに風斬りを無駄に使わされてしまった。この結果、敵の後衛とキルトレードすることが難しくなり、悪いポジションからタンクを攻撃せざるを得ない状況に陥っている。
トレーサーの場合(9:08~)
ジャンカータウン第1:
トレーサーを使っていて相手にウィドウメイカーがいる場合、もちろんウィドウメイカーを狙いに行く。ウィドウメイカーを狙えるアングルはどこかを考え、実際にそのアングルを取りに行く。もしウィドウメイカーがどこかに逃げたら、そこから一番攻撃しやすい敵を撃てばよい。ウィドウ絶対倒すマンになってブリンクをすべて使ってしまうと、敵のトレーサーに倒されてしまうかもしれない。
戦いが一段落したら、別のアングルを取れないか自問自答する。もしかしたらそちらのアングルの方が良いかもしれない。大事なのは常にアングルを取り続けることである。正しいターゲットを狙っていても、ポジショニングが悪ければ最低な結果になる。
ジャンカータウン第2:
最優先目標がウィドウメイカーなのは間違っていないが、ウィドウメイカーを攻撃しに行ってもそこにウィドウメイカーがいないなら、そのポジションから一番攻撃しやすい敵を撃つ方がよい。
このショートオフアングルから近距離のルシオを狙うのは正しいか?そう正しい。しかし、問題は他に取れるアングルがあるかどうかである。この場合、他に選択肢はほとんどない。トレーサーでルシオを狙うのは好きではないが、一番近くにいるのがルシオなのでルシオを撃つのだ。このアングルを取って安全にルシオを狙えるDPSはどれだけいるだろうか?ソンブラ、ゲンジ、トレーサー…たくさんはいない。ルシオを撃ったことでここから追い出すことができた。その後は、次にどのアングルを取るべきかを考える。これを繰り返すのである。ターゲット・プライオリティに基づいたアングルを取ったら、あとはそこから撃てる敵を撃つだけである。
キャスディの場合(11:52~)
キャスディの得意な距離は近距離から中距離なので、その距離で戦えるアングルを優先して取る。近距離と中距離のどちらを選ぶかはプレイヤーの好みによる。
この状況で誰を撃つべきだろうか。ライフウィーバーか?トレーサーか?どちらでもよい。今はスクイッシーを撃てる状況なのでラマットラは狙わないが、もしトレーサーが左の小部屋にいてライフウィーバーが右の高台にいるなら、ラマットラを撃てばよい。深く考えず、アングルを取って撃つだけだ。
敵のトレーサーはパルスボムを持っていたため、アングルよりもターゲットを優先してしまった。その結果、ブリンクを使って遠くにいるキャスディに正面から突っ込み、返り討ちに遭ってしまった。キャスディを狙いたいならブリンクで右からアングルを取るべきだった。
ターゲット・プライオリティはDPSに限った話ではない(13:22~)
これまでの例からわかるように、ポジショニングはターゲットよりも優先される。これはDPSに限った話ではなく、サポートのヒール・プライオリティにも当てはまる。コーチングチャンネル(youtube.com/@Spilo2)を見たことがある人なら、「誰にダメージブースト/調和のオーブ/アーマーパックをあげたらいい?」という質問に対して「良いポジションにいるやつ」と答えていることがわかるだろう。
ゼニヤッタの場合(13:45~)
「調和のオーブはスクイッシーにつけた方が、最大体力に対する回復量の割合が高くて効果的だよ🤓」という考え方は間違っていない。しかし、重要なのはそのスクイッシーが仕事をしているかどうかである。ゲンジの場合と同じで、タンクとスクイッシーの両方が選択肢にある場合、スクイッシーを優先すべきだが、スクイッシー同士では、より良い位置にいる方に調和のオーブをつけるべきだ。攻撃においても同様で、撃てる敵を撃つのが基本である。「なんでサポートに調和をつけてんだよ」といった言葉に耳を傾ける必要はない。良いポジションで仕事をしている味方をサポートすることが最優先である。
アナの場合(15:32~)
高台にいるアナは、誰に阻害瓶を投げるべきだろうか。イラリーとキャスディ?それも良い選択肢だが、メイに投げるべきだ。なぜならメイが今まさに仕事をしているからである。誰を撃つべきか?これもメイを狙うべきだ。なぜならメイが今まさに仕事をしているからだ。左上にいるレッキングボールも仕事をしているので、そちらを狙うのも良いが、アナの攻撃(1発75ダメージ)がより効果的に働くのはメイであるため、自分ならメイを狙う。これは回復の優先順位においても同じである。瀕死の味方を回復するのは賢い選択だが、全員の体力が十分なら、良いポジションで仕事をしている味方を優先して回復すべきだ。スリープダーツも阻害瓶も、ヒール・プライオリティもターゲット・プライオリティも同じ原則に従う。「良いポジションを取り、仕事をしている味方を攻撃・回復する」ことが最優先である。
ザリアの場合(17:48~)
ザリアのバリアでも同じことが言える。
Q. 誰にバリアを張ったらいい?
A. 仕事をしているやつ
自分が仕事をしているときは自分にバリアを張り、味方が仕事をしているときはその味方にバリアを張ってあげる。
ザリアのプレイでよく見られる問題は、硬直してしまうことである。味方がダイブしない、あるいは敵からダイブされない場合、何をすべきか分からなくなってしまう。そういうときこそ、ザリア自身が積極的に行動を起こさなければならない。
グラビトンサージでさえも、狙いやすい相手を倒すことを優先すればよい。わざわざリスクを取って遠くの敵を狙う必要はない。
ラインハルトの場合(20:34~)
ラインハルトのメイン攻撃は近接攻撃なので、攻撃が届くコーナー(曲がり角)に位置取り、タイミングを見計らうべきである。LhCloudy(ラインハルト専の元プロ選手)とその視聴者は、チャージで突っ込んでやられるだろうが(※ジョーク)、そのプレイは間違っている。良いコーナーを見つけたら、そこを維持していればいい。ターゲット・プライオリティを考えすぎずに、時にはチャージを使って良いポジションを取り、そこからダメージを出す。この繰り返しが重要である。
シグマの場合(23:34~)
タンクでもスクイッシーでも、どちらを撃っても効果的だ。シグマの場合、射程距離内にいる敵を撃つだけでよい。これまで見てきたケースと同様、倒せる敵がいればその敵を優先し、タンクとスクイッシーが同時に狙える場合はスクイッシーを優先する。
ベンチャーの場合(24:18~)
ベンチャーに関して誤解している人が多い。「後衛にドリルのコンボを決めればいいんでしょ?」まあそうだが、基本は他のヒーローと同じだ。アングルを取って撃てる敵を撃つ。良いポジションにいるなら、基本的にアビリティを使う必要はない。敵が「ベンチャーがいるぞ!」となり、追い返しに来たら、その時にアビリティを使って逃げるか、コンボで返り討ちにすればいい。このプロセスを繰り返す。良いポジションは、そこにいるだけで価値があるのだ。
マーシーの場合(26:08~)
仕事している味方を優先してポケットするが、マーシーはポケットするために近づく必要があるので、味方の位置にも注意を払う。
ジャンカークイーンの場合(27:40~)
得意な交戦距離は近距離であり、遮蔽物を利用できる位置で戦うべきである。エリアを取りに来たスクイッシーを追い返すことに成功しても、ポジションを離れてまで無理に追いかける必要はない。「良いポジションから撃てる敵を撃て」という原則は変わらない。たとえそれがフォーティファイ中のオリーサであったとしても。
結論(30:38~)
相性の良い敵は誰か考える。
使っているヒーローの得意なアングルを取る。
そのアングルから一番いい敵を攻撃する。