言語特有のニュアンスが問題理解に影響する!数学の確率問題より
こんにちは。この記事では、中国の高校に通う生徒との授業で取り上げた、ある数学問題を紹介します。
日本語と中国語のニュアンスの違いが、解答に影響する事例です。
日本語訳の難しい問題
では、実際の問題を見てみましょう。
下に日本語訳もありますので、一緒に問題に挑戦してみていただければと思います。
中国語の問題文
日本語訳
最近では、授業の中で中国語の問題文も理解できるようになってきましたが、この問題には微妙なニュアンスの違いが潜んでいるのを思い知らされました。
それでは解答を進めてみましょう。
当初の解法
設問にある「2つの球が両方とも赤球ではない」ということから、まず「2つの球が両方とも白球である確率」と考えました。
解法は次の通りです。
甲の袋から白い球を引く確率は4/5
乙の袋から白い球を引く確率は2/3
したがって、両方とも白球を引く確率は以下の通りになります。
4/5×2/3=8/15
しかし、これは誤答でした。
日本語訳のニュアンスによる影響
なぜ誤答だったのか?
その原因は、中国語の「不都是」の部分の、日本語訳のニュアンスの微妙な違いにありました。
そのために、中国語表記は違うが日本語訳がほぼ同じものになってしまうものを紹介します。
以下を翻訳にかけると、どちらも「2つの球が両方とも赤球ではない」となります。
2个球不都是红球
2个球都不是红球
中国語の表現の違い
「不都是」=「すべてがそうであるとは限らない」
「都不是」=「すべてがそうでない」
このニュアンスの違いが解釈に大きく影響しました。
日本語訳の補正
「不都是」には「2つとも赤球ではないが、どちらかは赤球の可能性がある」というニュアンスであり、つまり「少なくとも一方が白球である」確率を意味しています。この場合、正しい計算は以下の通りです。
1-(1/5×1/3)=14/15
一方、「都不是」は「1つも赤球はでない」というニュアンスであり、つまり「両方とも白球である確率」を求めることになります。
この解釈では、最初の誤答が正解となり、
4/5×2/3=8/15
となります。
まとめ
この問題を通じて、言語のニュアンスが数学の解答にも影響することを実感しました。
数学といえば普遍的な学問ですが、言語の違いによって、考え方や解釈が異なることもあることから、単語、数字、数式だけで問題を把握したつもりになるなということを思い知らされました。
普段の学びや問題解決の際に、異なる言語や文化への理解がいかに重要か、今回の問題はそれを教えてくれるものでした。