学校の「皆勤・精勤賞制度」を無くすと、どんなインパクトがあるのか。カイ二乗検定で「皆勤・精勤」と「学習習慣」の関連性を見てみる。
勤務校には「皆勤賞」と「精勤賞」というものがある。皆勤賞は、欠席・欠課(保健室等で授業を休むこと)・遅刻・早退が年間一つもない生徒へ、精勤賞は欠席が1回までの生徒に贈られる。但し、精勤賞は少しややこしく、「遅刻・早退の合計が6回で欠席1回とみなす」というルールがある。(年間遅刻を6回もする生徒が、年間たった1回休んだ生徒と同じ扱い?という議論は、今は置いておく。)この管理が実は意外と大変なのだ。特に自分が研修日で学校にいない日、副担任がホームルームに行くのだが、この時に記載漏れが発生しやすく、生徒が早退したこと自体が記録されていなかったり、コロナ関係で欠席・遅刻・早退した場合はノーカウントのはずなのに通常通り記録されているなど、面倒なことが起こりがちだ。副担でも出欠席管理がきちんとできれば問題ない話なのだが、以下、自主規制。
こういう文脈の中で、この1、2年「精勤賞を廃止しよう。(なんだったらついでに)皆勤賞もやめてしまおう」という声が以前に増して教員から上がっている。
コロナ前から「精勤賞廃止」の声は、前述のような管理の大変さから、複数の教員から上がっていた。「皆勤賞も一緒に廃止しよう」という声はまだ少数派のようだが、昨年の職員会議で一人の教員が「ライフワークバランスを重視する世の中に移行する中で、たとえ体調が悪くても学校に毎日来ることを称賛する皆勤賞制度は、時代の要請に合っていない」といった主張をしていたと記憶している。
それに対して「一理あるな」と思った。しかし、皆勤と精勤を一気に無くすと、いったいどれくらいのインパクトがあるのか。「これは結構大きな問題だな」と多くの教員が思っただろう。それ以降、私の脳内TODOリストにずっと入ったままになっていた。
ということで、『教育を読み解くデータサイエンス:データ収集と分析の論理』の第8章『本当に"差"があるといえるのか』で紹介されている【カイ二乗検定】という統計的分析方法を用いて調べてみることにした。まず母集団(学校全体の生徒)から自分が今年所属している学年をサンプル集団として抽出し、それらの生徒を「皆勤・精勤生徒」と「それ以外の生徒」にわける。そして、このグループ間に「学習習慣」の差があるのかを調べてみたいと思う。
(続く)