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所沢市100人カイギ Vol.01 レポート

ある日ふとネットで目にした「所沢100人カイギキュレーター募集」の文字
えいやと応募してひと月
すっかり大きな顔して、レポート担当などをさせてもらいました

所沢に「つながり」のある、
「新しい」と「発見」を

所沢市内で頑張っている人の「私は、こういう想いをもってこの活動をしています!」を語ってもらい、それを聞きたい人々が集い、交流が生まれる場を提供する。
そんな想いで始まった所沢市100人カイギ。
その第1回目のレポートのおとどけです。

そもそも【100人カイギ】とは?

「100人カイギ」は、2016年に港区で始まった、街で働く100人を起点に人と人とをゆるやかにつなぎ、都市のあり方や価値の再発見を目的とするコミュニティです。
ルールは簡単。
・毎回、身近で面白い活動をしている5名のゲストの話を10分ずつ聞く
・ゲストが100名に達したら解散する
100人カイギ:https://100ninkaigi.com/
所沢市100人カイギ:https://100ninkaigi.com/area/tokorozawa

所沢市100人カイギvol.01 概要

2024年10月29日(火)19時から約2時間、所沢駅東口から徒歩3分ほどのところにあるシェアオフィスTHE BRANCH(ザ・ブランチ)で行われました。

THE BRANCH(ザ・ブランチ)
埼玉県所沢市くすのき台1丁目10−7 肥沼ビル3F
https://maps.app.goo.gl/9uRQ4k1Z3GtqJECQ6

今回の参加人数は27名+登壇者5名+スタッフ8名の総勢40名と、かなりの好スタート。

氷解どころか白熱するアイスブレイク

プログラム

・アイスブレイク お近くの知らない方とペアになって自己紹介
・ゲストトーク1人目 三芳文彬さん(所澤神明社)
・ゲストトーク2人目 荒幡嘉洋さん(荒幡肉店)
・ゲストトーク3人目 高橋真理奈さん(シン設計室)
・ゲストトーク4人目 佐藤勇介さん(所沢ゼロファーム)
・ゲストトーク5人目 中川潤さん(株式会社フロンティアホーム)
・ネットワーキング 参加者同士の交流会

最初の5人の登壇者

アイスブレイクでほぐれたところで、所沢市100人カイギ、栄えある最初の登壇者は所沢の総鎮守、武蔵の国のお伊勢さまともいわれる所澤神明社の禰宜、三芳彬さん。

神社ってなに? 神社の役割と二面性 
 1人目 (1/100人目)所澤神明社禰宜・三芳文彬さん

神社ってどういう場所だと思いますか?と聞かれたら、みなさんは何を思い浮かべますか?
伝統的とか、古いという言葉が出てきやすいのではないでしょうか。
でも、神社は本来そう言う場所ではなかったのではないか、というのが三芳さんの考え。
3000年近く前からあった神社。
以前の神社は中国や朝鮮半島から来た最新のものを「俺はこんなものを手に入れたぞ!」自慢するような、最新鋭文化美術が集まる場所が神社だった。
そしてそれが、守りたい、尊い、と思う姿として洗練されてきたのが神社だとのこと。伝統も元はと言えば最新鋭だったという二面性があります。
また、お祭りについても一般の人が思い浮かべるどんちゃんしたものだけでなく、神と神主だけで時間を作る祭事があり、年間400回ほど行われているとのこと。この二面性があることを知ってほしいとのことでした。
最後に、三芳さんの考える神社の3つの役割について。
1つ目は神社それぞれの役割。大小さまざま、全国に何万とある神社はそれぞれけん引する立場や守る立場など、いろいろな神社の役割があるようです。
2つ目は信仰の対象としての役割、これは神様を尊いと思っている人のための宗教としての役割ですね。
そして3つ目は地域としての役割。所沢で、伊勢神宮など大きな神社の片りんを感じられる場所を残すこと、所沢市民の神社として市民全員の実家的な存在であること、マチで何かを為したいと思う人へ開かれた場所であることを実現できるように三芳さんは今、まさに考えている最中だということでした。

ロゴから肉屋をとったワケ
2人目(2/100人目) 荒幡肉店・荒幡嘉洋さん

荒幡肉店は嘉洋さんの曽祖父が始めた、創業93年目のいわゆる町のお肉屋さん。生肉のほかに、コロッケなどの揚げ物やローストビーフといったお惣菜も販売しています。
建て替え工事をしてリニューアルオープンしたのが今年の春。
実は建て替えるにあたって、お店の仕事を続けるのかどうか?という話がありました。

ある日、嘉洋さんは3代目である父から「お前これからどうするんだ?別にやりたいことがあったらそっちに進んでもいいんだぞ」と言われたそうです。
大学を卒業後すぐ、なんとなく流れの中でこの仕事に就いた嘉洋さん。
それでも仕事をやっていくにつれ、90年の歴史やプレッシャーがあっても、続けたいと思って、リニューアルに踏み切ったのだそう。

リニューアルでは、以前は注文を受けてから揚げたてを提供していたのを、外の窓口からすぐに買えるように。
これは、以前「すぐ買えないならいいや」と帰ってしまうお客さんがいたことから。
また、イートインスペースを作って、お酒も飲めるようにしました。

こうなると、お客さんは荒幡肉店を「荒幡コロッケ」「コロッケ屋さん」と言ったり、「お肉屋さん」「お弁当屋さん」さらには「飲み屋」と、それぞれ好きに呼ぶ。それもいろいろな側面があっていい、とのこと。

リニューアルにあたって意識したのは、恰好いいと思えるようにしたい、ということ。
これは、嘉洋さん自身がこどもの頃、お店の仕事をなんか古臭くて恰好悪いと感じていたから。
ロゴから肉店やミートショップという言葉をなくしてシンプルなARAHATAにしたのも、そういう恰好良さや、いろいろな側面を持っているということを意識したから。
「将来、自分にこどもができた時、こども達に「お父さんの仕事いいな、自分もやってみたい」と思ってほしいので頑張っていきたい」
そんな思いを語ってくれました。

ベッドタウンではなく、タウンとしての価値を
3人目(3/100人目)シン設計室・高橋真理奈さん

所沢生まれ、所沢育ち。
だけど、中学・高校、大学、職場はすべて東京で、15年間、所沢から東京へ通う生活を続けてきた高橋さんにとって、所沢は「寝るためだけに帰る場所」でした。

そんな高橋さんが所沢で事業を始めたことで、東京に出るための“ほどよく便利なベッドタウン”としてしか、所沢に価値を感じていなかったことに寂しさを感じたといいます。
本業の建築設計の仕事で、所沢市内の公衆トイレを設計する機会があり、その際、コンセプト以外で最も大切にしたのは「日本で一番カッコいいトイレを作ること」でした。
「自分の暮らす街で、一流で最先端のものが当たり前に触れられる機会を増やしたい」という想いから、「カッコいいトイレを作る」という意気込みで取り組んで設計したのが、所沢の公共トイレ「インフラスタンド」だそうです。

さらに、高橋さんは本業以外でも、事務所の本を置いているスペースを私設図書館として開放しています。
文化資本の象徴である本を手に取る機会や、訪れる人との出会いを通じて新たな気づきを得る、そういった内省の場を提供したいという想いが込められています。
これらに共通するのは、人を「はっ」とさせること。
事務所のある西所沢でのイベント開催や、SNSメディアでの情報発信もその一環です。

「まりしま」というSNSメディアは、一見グルメアカウントのようですが、敢えて観光ガイド風にすることで、所沢を観光的な視点で見直し、「所沢ってこんなにいいところがあるんだ!」と「はっ」と気づいてもらいたいとの想いが込められています。
「気づきを与えることで、『所沢っていいじゃん、自分も所沢で何か始めてみよう』と思ってもらいたい。こうした活動を通じて、所沢を“ベッドタウン”から“タウン”にしていきたい。」
そう高橋さんは話を締めくくりました。

筆者である私は、「住んでいるのにベッドタウンとしての価値しか感じない」という人がいることに「はっ」とさせられました。
皆さんはいかがでしょうか?

所沢にはない取り組みで、所沢の名産を復活させたい
4人目(4/100人目) 所沢ゼロファーム・佐藤勇介さん

就職氷河期を経験し、バックパッカーをして農業をやりたいと思った佐藤さん。実は所沢で農業を始めようと思うと、農業大学校に1年通い、その後研修などを経て、少なくとも3年はかかるのだそう。
それでも、中学生の頃の同級生と2人で新規就農として始めたのですが、所沢は不労所得がある農家さんが多いらしく、既存の農家とは違う形をとろうとする所沢ゼロファームは、最初は煙たがられたとか。
でも、今は市内で1番大きな農家に。
とはいえ、農業は大規模化、(アニメの)ワンピース化していて、所沢ゼロファームは市内では大きいけれど、埼玉、日本国内で考えるとまだまだ小さい。
まずは所沢で1番になって、マネージメントなど所沢にない農業営業体を構築していき、所沢の入間ゴボウを復活させたいという思いで活動しています。

たとえばITを使った見える化。
今年は暑かったからとか、害虫が多かったからとかではなくて、データで見て分析していくことが大事。
それを見て自分で判断できるようになって、最終的には代表である自分がいなくなっても農業として回るようにしていきたい。
家業だと、どうしても「お父さんが倒れた」とかで続かなくなってしまう。そうではなく、きちんと事業にしたいと考えて「所沢にはない取り組み」を進めている佐藤さん。

「なんとなくタブー視されいているように感じる、育休、産休、有休をパートさんもとれるようにしていって、今までにない農業経営体を作り、なくなってしまった所沢の入間ゴボウを復活させます。」

そもそも、所沢の入間ゴボウの存在自体、多くの参加者がここで初めて知った(筆者もまさに)佐藤さんのお話し。
新しい技術で伝統を復活させる活動です。

所沢駅にストリートピアノを置いた張本人
5人目(5/100人目) 株式会社フロンティアホーム・中川潤さん

とにかく音楽が好きで、ベストヒットUSAをずっと聴いていたという中川さん。70~80年代音楽、スムースジャズのほか、J-POPにも手を出していて、そのCDコレクションは700枚!
そんな中川さんはある日、「街ピアノ、所沢にもあった方がいいじゃない?」と思い、思い立ったが吉日とばかりに動き始めます。
最初に行ったのが、グランエミオの案内のお姉さんがいるところ。
そこで「ピアノを寄付するから街ピアノをやりませんか」と、まずは名刺を置いていったとのこと。
それからしばらく、待てど暮らせど連絡がないので電話したところ、検討しているから・・・と言われたものの、実現せず。
理由はコロナ。
そう、それは2020年のことだったのです。
でも、ここからが劇的。
このことをFacebookでボヤいたら、なんと、藤本前市長から「ピアノやってくれるの?」と直接連絡が!
そこからはあれよあれよという間に動いて、2021年9月、実現できるようになりました。
調律などさまざまな問題があったけれど、つながりと協力と偶然で街ピアノは実現しました。

所沢の街ピアノは2024年7月にフィナーレを迎え、今は児童館にあります。
中川さんが見たかったのは、有名なミュージシャンにたくさんの人が集まって、というのではなく、ちょっと立ち寄ってほほえましく見るものでした。

「表現者のアピールの場がもっとあって欲しい。
心が満たされれる瞬間を作りたい。
街のピアノは、人がいて、表現者がいるジャンクション。
音楽の交差点が所沢にできることを願っています。」

筆者自身も所沢駅の街ピアノをのびのびと弾く高校生に感動した経験があります。音楽への情熱が人を動かした、素敵なお話でした。

ネットワーキング、そしてVol.02へ

100人カイギは5人の登壇者の話の後、ネットワーキングという参加者交流会を経て閉会となります。
たまたま隣り合った人、登壇者、なんとなく気になった人。
そんな人とつながり合って、次のVol.02にへつながります。

次回は年内12月を予定。
少しでも興味のある方は、下のリンクをクリック!
その1歩を踏み出してご参加ください。
https://100ninkaigi.com/area/tokorozawa


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