正論による分断を埋める存在~「何者でもない」人のムーブメントの起こし方
はじめまして。教育クリエイターの鈴木Pこと鈴木健太郎と申します。
僕自身のことを知っている人はほとんどいないと思いますが、僕が関わってきた教育イベントやプロジェクトは1つくらい聞いたことがあるかもしれません。
直近でニュースになった話題だと、北海道の安平町にチームラボなどが設計をしている公立の小中学校(義務教育学校)が開校するのですが、僕もそのプロジェクトメンバーです。
北海道安平町に義務教育学校開校 チームラボらがデザイン | 教育新聞 https://www.kyobun.co.jp/news/20210716_02/
※写真は建設敷地です。
ありがたいことに、独立してからも毎年新しいプロジェクトに挑戦させてもらい、その規模も年々大きくなっています。プロジェクトの成長と共に、僕自身も次のステップに進んでいくのですが、その上で、これまでの取り組みを「“教育クリエイター”鈴木Pの企画書」と題したこのnoteの中でまとめていこうと思いました。
みんなが「何者か」になる必要はない。
正直、僕自身の知名度と僕が携わっているプロジェクトの規模は全く比例していません。鈴木健太郎という名前は、同姓同名がめちゃくちゃいますし、鈴木Pと言えば、まず思い浮かべられるのは、ジブリの鈴木敏夫さんだと思います。
でも、僕はそれでいいと思っています。なぜなら、自分自身が有名になったり、フォロワーを獲得したりすることは、特に目指していないからです。
自分のポジションを強固にしようと頑張る人も多いですが、僕はその逆で、「ポジションを取らない」生き方をしています。なぜなら、ポジションの無い「何者でもない人」だからこそ出来る役割があるからです。
その役割とは、ポジションの乱立によって生まれた“分断”を埋めること。その為にはポジションは邪魔なのです。
SNSを見ていると、インフルエンサーと呼ばれる人たちが、自分のフォロワーを巻き込んで、どっかんどっかん目立つことをやっている姿を毎日のように見ます。「何者かにならなければいけない」ー。そんな雰囲気をとても感じます。
自分が目立って、影響力を持つことこそが正解のように思わされる時代ではありますが、そうではない生き方の一つとして参考になったりしたら嬉しいです。
正しいことを言っている人同士で分断が起こっている現状
SNSの普及もあり、今は多様な考え方を持った人たちが、それぞれの価値観、知識、経験などに基づいて発信しています。
明らかなデマや嘘もありますが、僕は「正しいことを言っている人」のほうが大半だと思っています。ただし、0か100、白か黒かにはっきり正誤が分かれることはなく、世の中はだいたいグレーです。グレーの事象に対して、それぞれが自分の立場から正しいことを主張しています。
冷静に客観的に考えれば、Aさんの言っていることも正しいし、Bさんの言っていることも正しい。
みんな正しいことを言ってはいるものの、自分の主張を分かりやすくするために、極端に情報をそぎ落とした主張をしたり、マウントを取り合ってしまったり、大人の事情だったりで、ポジションごとに大きな分断が生まれてしまっているのが現状だと思っています。
この分断こそが、様々な出来事を阻む原因になっているのではないか-
1人でできなければ協力すればいい。とはいえ、プライドや世間体やなんやかんやが邪魔をして、自分から声をかけたり、歩み寄ったりすることは、なかなかできない。
結局、自分たちのできる範囲でしか行動できずに、本当に実現したいことに対して遠回りになっている状況をたくさん見かけます。これってすごく勿体ないですよね。
そこに「何者でもない人」が関わることで、不必要な分断やすき間が(結果的に)埋まり、より大きな目標に向かって皆で進むことができるようになったりします。すき間が埋まればコミュニティの密度や規模は大きくなり、実現できることの幅も広がっていきます。
みんなでやれば、みんなハッピーを目指して
ちょっとイメージしてみてください。
今をときめく教育系Youtuberと、先進的な活動を進めている立場の学校の先生たち。
どちらも、「教育で子どもたちの笑顔を作りたい!」と思っていたとしても、片方はYoutubeで教育を届ける、片方は教室で教育を届ける、それぞれの実現方法は違います。またYoutubeで授業なんか邪道だと思っている保守派の先生たちもいます。
そんな立場の違いがあると両者が何もせずに、自然と交わることはほぼありません。でも、実はお互いのことはリスペクトしてて、子どもたちのためにもっと良い教育を届けられたらなと思っていたりします。
やりたいことはあるけれど、それぞれの立場の人だけではどうしようもない。じゃあ、一緒にやれば実現できるし、みんなハッピーなんじゃない?というのが僕の考え方です。
「せっかく同じ方向を向いているんだから、一緒にやりましょうよ」と声をかけ、それぞれのやりたいことを繋いでいきます。
化学反応を促進する"触媒”として、僕ができること
僕が以前働いていた「チームラボ」という会社には、「カタリスト」という職種があります。直訳すると「触媒」。
> 触媒:
触媒(しょくばい、英: catalyst)とは、一般に、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう
(Wikipediaより)
いわゆるディレクターに近いのですが、ディレクターのように皆に指示をする人ではなく、メンバーを刺激してプロジェクトを促進するような役目です。とにかく、ヤバイものをつくるための化学反応を起こすことを目指していて、カタリストはデザインやグラフィック、プログラム以外はなんでもやります。
僕が独立してからやっていることは、この「カタリスト」と似ているのですが、僕の場合は、結果としてカタリスト(触媒)的な働きをしている、と言った方が正確かもしれません。
なにせ、チームラボの時代は優秀なメンバーで構成されたチームがあり、解決すべき課題もあり、皆のテンションも高かった。
しかし、独立してからはそもそもメンバーもおらず、課題もない状態。なのでとにかく、自分が手の届く範囲にいる人の幸せを実現することだけを考えてきました。
「こんなことやりたいんだけど、どうすればできるかな?」
そうやって相談されたことを、ゼロベースで一緒に考えていきます。そして実現のために必要なことであれば、何でもやります。1人で出来ないことであれば、一緒にやってくれる人を探しに行きます。
一番最初は、六本木のクラブを貸切って行った数学のイベントでした。それから出会った人と、紹介したりされたりを繰り返し、輪を広げていきながら、さいたまスーパーアリーナで業界最大規模のイベントを企画したり、近いうちには東京ドームでのイベントも考えています。(まだ全くの構想段階ですが…)
2016年、六本木のクラブを貸切って行った数学のイベント「ロマンティック数学ナイト」の第1回。司会のタカタ先生と僕。
画像引用:https://wakara.co.jp/event/20160503
十人十色の教育クリエイターたちと、対談を企画しています。
そうして、日本中の教育クリエイターと手を組みながら、気づけばたくさんの新しいものが生まれました。企画するイベントの規模は大きく、関わる人や団体も「THE教育業界」に限らず、多岐にわたるようになりました。
ところがここで一つ、予期してなかった問題が出てきました。企画するプロジェクトの規模に、僕自身が釣り合わなくなってきたのです。
もともと僕は、自分が前に出ようとは全く考えていません。しかし、イベントの規模が大きくなり箔がつくにつれて、どうしても壇上での挨拶を求められたり、事前の顔合わせなどで官公庁の方や大企業の役員クラスの方と話をしなければいけない場面が出てきます。
一緒に仕事をしている人には僕のことがわかってもらっているけど、世間一般には全く知られていない。そんな僕がステージに上がって挨拶をしたところで、参加者にとってみれば「え?誰あのおじさん?」状態。
というわけで、せめて自分の名前でググられたときに、「怪しいおじさん」でないことは分かるようにしておかなければとなったわけです(涙)
目指せ鈴木健太郎業界No1(笑)
そんな経緯で、改めてnoteを始めることにしました。
とはいえ、僕が関わってきたプロジェクトは、当たり前ですが僕だけのものではありません。だから、一緒に作ってきたメンバーと対談形式でお届けしようと思い、鋭意準備中です。
自分のnoteで自分の対談記事を掲載するという、これまた一風変わったスタイルにはなりますが、自分一人では何も起こせない、“触媒”の自分にはそれがちょうど良いかなと思っています。
一般のメディアでは掲載できないネタも多数あるので、ぜひこのnote「“教育クリエイター"鈴木Pの企画書」をフォローしてお待ちください。
教育クリエイター鈴木Pこと鈴木健太郎
教育クリエイター。「教育をもっと自由にもっと楽しく」を合言葉に、教育Youtuber、数学、オンライン授業などの日本最大の教育イベントを多数立ち上げている。世界最大のSTEM教育NPO FIRSTの日本統括
Twitter:https://twitter.com/momiagematsuge
(編集協力:伹馬 薫)