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子どもたちの不適切な行動 〜段階に分けて〜

アドラー心理学に基づいて考えると、子どもたちは、所属の欲求を強くもっており、所属することを目的にさまざまな行動をする。

所属の欲求と子どもたちの行動
 ①褒められようとする
 ②注目を集める
 ③権力を争う
 ④復讐する
 ⑤無能力を示す

アドラー心理学に基づくと、子どもたちは所属の欲求を強く持ち、さまざまな行動をとって所属を求めます。本記事では、「所属の欲求と子どもたちの行動」、「不適切な行動と所属の追求」、「簡単な方法と社会的な問題」、「子どもの良好な人間関係の築き方」というテーマについて解説します。子どもたちが所属を求める背景や理由についても触れ、さらに、所属の欲求が不適切な行動につながることや、簡単な方法が社会的な問題を引き起こすことについてもお伝えします。子どもたちが健全な人間関係を築くためにはどのようなアプローチが効果的なのか、具体的な方法やポイントも紹介します。子育て中の保護者や教育関係者にとって、子どもの所属の欲求を理解し、適切に支えるためのヒントが得られるはずです。

1.「所属の欲求と子どもたちの行動」

 全ての子どもたちは、所属の欲求を強く持っています。それは、社会的動物である私たち人間にとって生きていく上で不可欠な要素だからです。原始時代では、所属に失敗することは死を意味します。
 しかし、人間の本能は欲求は持っても、適切な所属の仕方まで人間に指示してくれるわけではなさそうです。子どもたちは、所属の欲求を満たすために、時には適切な行動を起こしますが、時には不適切な行動を取ることがあります。

アドラー心理学では、子どもたちの不適切な行動を4段階、あるいは研究者によっては5段階で表しています。ここでは、5段階でお伝えします。

①褒められようとする

 一般に、「子どもは褒めて育てるべき」という認識が多いでしょう。大人は褒めることで、大人の言うことを聞かせようとします。「言うことを聞かせようとする」という時点でその目的は「叱る」ことと同じです。
 褒めて育てると、褒められることが気持ちよく、褒められることを目的に行動するようになります。つまり、子どもは「褒められよう」とします。
 このことは、子どもが「褒められないならば行動しない」ことを示しています。褒められるという報酬がないならば、行動する意味がないのです。ですが、いつも褒められるわけではありませんね。また、大きくなれば褒められることも少なくなっていくのが一般的です。さらに、思春期ともなれば、「大人が褒めることの目的」がわかるため、褒められるために行動することもなくなってくるでしょう。

②注目を集める

 褒められようと行動する子どもが、褒められなくなったらどうするでしょうか。きっと所属することに危機感をもち、「注目を集める」行動をとるようになります。他の人がしないような変わった行動をする、いきなり大声をあげる、いつもカタカタと物音をさせる、こういう子どもたちを見た時、あなたならどう対応しますか?きっと、声をかけるでしょう。「大人しくしなさい」「音を鳴らさないで」「何回言ったらわかるの」といった声が聞こえてきそうです。子どもたちは賢いのです。何をすれば声をかけてもらえるのか、わかっているのです。

③権力を争う

 関わり方が改善されなかったり、注目を集めているときに、「〜しなさい!」「〜しろと言ってるだろ!」などといった、より強い非難が行われる場合、子どもは大人に対して権力を争うようになります。子どもと大人のどちらが、その場で権力をもっているか、支配下におけるかを争います。権力争いになった時、大抵の場合、大人が負けます。負けなかったとしても、子どもをひどく傷つけることになります。
 私の見立てでは、日本の現代の教育現場では、この状態に陥っていることが多く見られます。そして、やはり大抵の場合、教師が負けるのです。その結果、教師の精神的な病気休暇が増えていると考えています。もちろん、全ての精神的な病気休暇がそうであるというわけではありません。

④復讐する

 子どもが、大人との権力争いに負けた場合、どうなるでしょう。子どもはあらゆる手段を用いて、大人に対して復讐を行います。
 その一つに、不登校があると考えています。彼らは、教師が何をしてこようと(または、同級生が)、「不登校を続けるぞ」と決心しています。現代の不登校の実際は、誰かに復讐しようとして、この状態が現れていると考えられます。
 他にも、親や教師を馬鹿にする、言うことを聞かない、禁止されたことをあえてやる、より大きな権威に訴える(教育委員会など)、などが考えられます。

⑤無能力を示す

 復讐も効かなかった場合、最終段階に入ります。無能力を示す段階です。
 この段階になると、親や教師などの援助者がいかに関わろうと「自分は能力がないんだ」ということを態度で主張するようになります。どんなに励まして、「あなたには能力がある」と示しても受け入れないでしょう。きっと能力がないことを証明しようとするでしょう。どんなに励ましても「放っといてくれ!」というように相手があきらめるまで無能力を示し続けます。

 ここまで見てきたように、大人が適切な関わり方を学ばなければ、子どもを段階的に不適切な行動を深めていってしまいます。復讐する段階まで入ると当事者ではどうしようもなくなります。この段階までいった場合には専門家に相談する必要があります。
 一般の人にとっては、復讐の段階までいかないように、適切な方法を学ぶことが重要です。その適切な方法については、また別の機会に述べたいと思います。

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