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【初級編】「自分はなぜ、やる気が出ない?」が分かる④ ~「内的ー外的統制」~


「内的ー外的統制」とは

突然ですが、みなさんは、自分の行動と結果とが関係していると思いますか?それとも、

まったく関係していないと思いますか?

例えば、「素敵だな」と思う人に声をかけて、うまくデートにこぎつけることが出来たとします。

その時、「自分が魅力的に見える振る舞いをしたからだ」と思う人もいれば、

「たまたま運が良かっただけだ」と思う人もいるでしょう。

このように、随伴性認知について、パーソナリティの側面から考えたのが、

ロッターの「内的ー外的統制」です。

※随伴性認知については、以下の記事で解説しています

http://for-better-education.com/motivation③

ロッターが社会的学習理論を拡張して提唱した「統制の位置」

※少し難しい話なので、読み飛ばしてもOKです

ロッターは、社会的学習理論を拡張して「統制の位置」を提唱し、

それが学習や動機づけに影響を及ぼすと主張しました。

「統制の位置」とは、自分の行為が、どの程度、成功や失敗といった結果に

影響すると考えているかという信念を指します。

ちなみに、「社会的学習理論」というのは、

人間は社会の中で生活しながら、まわりの環境との相互作用を通じて多くのことを学習していく

という考え方で、代表的なものとして「観察学習」があげられます。

「観察学習」というのは、モデリングによって成立する学習の様式のことで、簡単に言うと

他社の行動を直接に観察したり、テレビやビデオを通して観察したりすることで学習する

というものです。

交通事故の教育ビデオを見て、その恐ろしさを知ったり、

あるいは友達が先生に怒られている場面を見て、やってはいけないことを知ったりするものです。

ネガティブなものだけではなくて、例えば友達が先生に褒められているのをみて、

自分もその行動への動機づけが高まるなど、ポジティブな学習もあります。

内的統制信念と外的統制信念

結果が自分の行動や自分の(比較的永続的な)特性に随伴しているという信念は、

「内的統制信念」と呼ばれます。

先ほどの例でいうと、「自分が魅力的に見える振る舞いをしたからだ」と思う人は

内的統制的と言えます。

一方で、望ましい結果が得られるかどうかは、運や偶然、あるいは運命やほかの人々の力、

あまりに複雑で予測できない何かによるのであって、自分とは関係がないという信念は、

「外的統制信念」と呼ばれます。

先ほどの例でいうと、「たまたま運が良かっただけだ」と思う人ですね。

一般に、人は、極端な内的統制と極端な外的統制の中間あたりにいて、

やや内的統制的だったり、やや外的統制的だったりと、個人差があります。

また、内的ー外的統制の個人差は安定的な認知的特性(つまり、あまり変化しない)

と考えられており、「一般的LOC尺度※1」という測定尺度も開発されています。

ご自身がどの程度内的統制的か(あるいはどの程度外的統制的か)を調べることができますよ。

※1 鎌倉・樋口・清水(1982)

「内的統制的な人」と「外的統制的な人」との違い

では、「内的統制的な人」と「外的統制的な人」とでは、具体的に

どのような違いが生まれてくるのでしょうか。

先ほどの例で、「内的統制的な人」は、「魅力的に見える振る舞いをすれば、次もうまくいく」と

考えます。そのため、魅力的に振舞うために相手の好みを調べたり、自分磨きをしたりします。

動機づけとの関連で言えば、「やる気が高い」人ですね。

一方で、「外的統制的な人」は、「運よくうまくいっただけだから、次もうまくいくとは限らない」

と考えます。そのため、相手のことを調べたり、自分磨きをしたりということはしません。

そんなことをしても、結果には関係がないと考えているわけですね。

つまり、「内的統制的な人」は、過去の失敗や成功から学び、さまざまな情報を収集して、

次に生かそうとします。それに対し、「外的統制的な人」は、

「それはそれ」「これはこれ」という感じで、その場その場を生きていると言えます。

別の言い方をすれば、努力する意味を感じられなかったり、

周りから「やる気がない」ように見えてしまったりする、ということですね。

まとめ

ということで、まとめです

「内的ー外的統制」とは、随伴性認知について、パーソナリティの側面から考えた理論である

結果が自分の行動や自分の(比較的永続的な)特性に随伴しているという信念は、「内的統制信念」と呼ばれる

望ましい結果が得られるかどうかは、運や偶然、あるいは運命やほかの人々の力、

あまりに複雑で予測できない何かによるのであって、自分とは関係がないという信念は、「外的統制信念」と呼ばれる

内的ー外的統制の個人差は安定的な認知的特性(つまり、あまり変化しない)と考えられており、「一般的LOC尺度※1」という測定尺度も開発されている

内的統制的な人は、過去の失敗や成功から学び、様々な情報を積極的に収集し、それを未来に生かそうとする

外的統制的な人は、過去の失敗や成功を未来に生かすということはせず、ただその場その場を生きている

ということで、外的統制的な人は、未来を積極的に改善していこうという気持ちが弱いため、

やる気を出すインセンティブが弱いと言えるでしょう。

もしあなたが、外的統制的な人間なのであれば、

過去の失敗や成功なんて、次に生かせるはずがないけど、それは自分が勝手にそう感じているだけで、絶対の真理ではない

という風に、自分の考え方を客観的にとらえるようにすると良いかもしれませんね。

参考文献

「やさしい教育心理学 第五版」
著者:鎌原雅彦・竹綱誠一郎
出版:有斐閣アルマ

「学習意欲の理論ー動機づけの教育心理学」
著者:鹿毛雅治
出版:金子書房

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