苦手な教科を克服する方法は?
生徒からももちろんあるし、保護者の方からもたくさん頂く質問です。
苦手な教科、無くしたいですよね。
「今80点を取れている教科をもっと勉強しても、あとは20点しか上がらない。けど今40点の教科をもっと勉強すれば、あと60点も上がる可能性がある!」なんて説得したことがある人もいるのではないでしょうか。
・・・いやまてよ、そもそも苦手で40点なんだから、あと60点取れると行ってもそれはもはや苦手教科ではないのでは・・・
と、勘のいい子供は思うでしょう(笑
苦手を得意にする、素敵な言葉ですが、果たしてどこまでできるのでしょうか。
結論から言うと、得意を伸ばす方が良いと思います。
「苦手」と「嫌い」の相関性
子供は本能で生きています。大人の注意なんか聞いてません(笑
その時に楽しいからやるんです。つまらないことはやりません。
もし、つまらないと感じていることを進んでやっている子供がいたら、それは「別の力」が働いていると考えるのが自然です。例えば、親の命令とか。
「やらされる」勉強のアッパーは確実に低いです。勉強の本質から遠いものですからね。
唯一例外は、習慣化している場合です。習慣化しているならば、特に問題ないかと思います。習慣化というのは、例えば「歯を磨く」とか「顔を洗う」とか、生理的現象以外で本人が何も考えず定期的にやっていることです。
ただまぁ、苦手教科に関していえば習慣化している可能性は低いかな・・・習慣化していて、うまくいっているならば苦手教科になることはなさそうです。まぁ習慣化というキーワードだけでかなり話せることは多いので、ここではあえて触れません。
話を元に戻して、こと勉強に関していえば、「苦手」≒「嫌い」は成り立つと思います。子供は単純なので、嫌いなことはやりません。嫌いなことを無理やりやらせるのはナンセンスだと思います。もし嫌いなことなのにやらせたいのであれば、習慣化させるしかないかなと。
なので、嫌いなもの・苦手なものを得意にするのは、ゼロからのスタートではなくマイナスからのスタートなので、相当に厳しいということです。
レディネスの重要性
なので、私は好きな教科をひたすらやらせていいと思うのです。
で、本人がいつか気づくはずです。「このままでは苦手教科が足を引っ張ってしまう!」と。
そこに本人が気づけたら、大チャンスです。子供にとって苦手教科をやらなければいけない理由が『自発的に』出てきます。
これは『レディネス』という言い方をすることがありますが、簡単に言えば「本人がその気になった時に初めて物事を吸収できる」ということです。
例えば、何か悪いことをして怒られているとして、本人が自分の悪さに気づいていなければ、説教は全く効きません。「なんで俺だけ?」という気持ちの時に聞かされる説教ほどイライラするものは(子供にとっては)ないんです。
大人であれば、自責マインドがあるので、いくら自分が悪くなくても「あ〜もうちょっとここをこう振舞えばよかったな」とか、気持ちを切り替えられるんですけど(できない大人も多いかw)、子供は絶対無理です。
だから、そういう時は頭から怒るのでなく、共に問題を解決するパートナー的な接し方が良いんですね。本人の意見をしっかり聞いて、同意してあげるんです。「なんでこうなっちゃったの?」「そうか、それはあの子にも問題はあるよね」「でも君はなんでこうしちゃったの?」「じゃぁそこは次から気をつけようね」といった流れです。レディネスを作ってあげるんです。
苦手教科に関してのレディネスを作ってあげられるかがポイントだと思います。
大学受験の視点から
大学受験は、まぁ苦手教科は死活問題ですね。ただ、上記のレディネスという面では達成しているはずです。「あの大学に受かりたい!」という明確な指標があるわけですから。これでレディネスが整っていないなら、その大学に行きたい気持ちはその程度ということでしょう。
まずは何故苦手なのか、自分と向き合う必要はあるでしょうね。
苦手な理由は人それぞれ、それによってアドバイスは変わります。
教科特性もありますから、細かい話ではなく学習全体を見渡す立場で話しますと、月並みな回答になってしまいますが、
・毎日コツコツ、基礎基本を徹底する
・難しい問題は無視する。飛ばす。
・いい点をとろうとしない。平均点を目指す
・メンターを置く
と言ったところでしょうか。
メンターというのは、すぐに質問できる人です。基本的に解るところは楽しく感じます。人間そんなもんです。わからないものに不安や苛立ちを覚えます。
ですから、そういった時に気軽にいつでも聞ける相手がいるのは、とてつもないメリットです。学校の先生ではだめです。塾の先生もだめ、瞬間的に聞きたい!と思った時にすぐ聞ける相手をつくりましょう。
気の合う友達です。これを作るのがすごく大切ですよ。
得意を伸ばす教育の付加的メリット
で、結論は「苦手より得意を伸ばそう」です。得意を伸ばした方が楽しい。で、いつか苦手な教科にも目が向きます。レディネスが出来上がります。
「克服する!」という本人の意思があるならともかく、周りがとやかく言うのは逆効果なんじゃないかと。
得意教科なら、褒めやすいですよね?こんなにいい点数取ったの?とか、今日も頑張ってるじゃん!とか。ポジティブな言葉は良い環境を生みます。これは大きいメリットですよ。
得意な教科が伸びる子は、勉強に対して嫌悪感が無いイメージがあります(感覚的に、ですが)。好きな教科が嫌いな教科も引っ張ってくれるんですよ。
得意な教科だから多少やる気も出るでしょうし、「勉強をする」という習慣はつきやすいですね。
そういう循環を、大人は『待つ』。
「はやく勉強しなさい!」ほど、空虚でいみのない、マイナス面しかない言葉はもうやめましょう。
「いまどういう宿題出てるの?わたしにもできるかしら?」ぐらいの声かけができるようになるといいですね。
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