「個人教室」の子供プログラミング教室がとても少ない理由【④選】
はじめに
こんにちは!
子どもプログラミング教室エドグラの大村です。
子どもプログラミング教室って、最近ポンポンと増えてきていますね。
しかし、そのほとんどが「大手チェーン」か「フランチャイズ」であり、個人の子どもプログラミング教室は前者の比ではなく少ないです。
私の教室の地域である京都市でも、ネット検索で個人教室を探すのは難しいですが、大手チェーンやフランチャイズの教室はすぐにたくさんでてきます。
子どもプログラミング教室エドグラは個人教室なのですが、周りに個人で頑張っている教室があまりなく少しさみしいという気持ちはありつつ…
…なのですが実際のところ、個人教室としてやっていくことは課題が多いというのが現実です。
今回は、個人教室の子どもプログラミングスクールが少なくなる理由として存在するハードルについて「4つ」説明していきます。
【個人教室が少ない理由①】教材の準備が大変
プログラミング教室を始めるのであれば、学習に使う教材テキストは必須です。
では、どのように準備するか?
方法は以下の2パターンです。
①自作する
メリット:本当に学んでもらいたい学習内容を提供することができる。
デメリット:準備にとても時間がかかる。
②教材をレンタルする
メリット:準備に時間がかからない。
デメリット:自分が学んでもらいたい学習内容を提供することができない。
このように、①②のメリットとデメリットは正反対であり、コインの表と裏のような関係です。
ちなみに子どもプログラミング教室エドグラの教材テキストは100%「①自作する」です。
OPENまでの教材作成だけでほぼ毎日欠かさずで約2年かかっており、現在も工夫にこだわりながら作り続けております。
ですが普通、個人教室が「教材の準備が大変!」という問題をパスするなら、当然「②教材をレンタルする」を選択するでしょう。
「①自作する」のハードルが高いので、本当に学んでほしい学習内容を提供したいという思いを捨てられない個人教室は開業を断念します。
実情として、数少ない個人教室のほとんどが教材を月額レンタルして提供しています。(特にスクラッチ・マインクラフトなどのレンタルは豊富です)
しかし、、それで教材の準備が大変じゃなくなったからよかった~とすべてが解決するわけではなく、次の【個人教室が少ない理由②】につながることになります。
【個人教室が少ない理由②】他教室との差別化が大変
差別化できるものには「講師の質」や「教室環境」などの要素もあるとは思いますが、「何を学べるか(学ぶ内容)」が最も他教室との差別化において重要なものだと個人的に思っています。
いくら講師が優しくて、教室が広くてワクワクするデザインだったとしても、学ぶ内容の質が低ければ、子どもが得られる学びに限界があります。
「②教材をレンタルする」という場合では、何を学べるかの差別化が難しくなります。
なおかつ「学びの質」も低下することもあわせて危惧しています。
レンタルできる教材は、基本的に子ども達が楽しく学べるようにRPG風の世界観やアニメキャラの指示に合わせて行う専用ソフトでのプログラミング学習であり、専門性の低い講師でも短期間で教えられるようになる内容となっています。
大きなエラーやトラブルは起きません。
また、「変数」「関数」「条件分岐」などの「文法中心」の学習がメインとなります。
正しい書き方を行い、間違っていたら答えを確認して正しい書き方に直すというその安全な専用ソフトの中だけでプログラミングを行うというものです。
実際に自分でプログラミングや本物の各種ソフト,ツールを使いこなしたり、HP, アプリ, ゲーム, AI, プログラムなどを作れるようになりません。
専用ソフトでのプログラミング学習は、具体的な力が身に付きにくいと危惧している話もこちらで書いています。
加えて、レンタル教材は、なるべく多くの人にレンタルしてもらうために、専門性の低い講師でも教えられる内容であるがゆえ、それを学ぶ子供も具体的な力を身に付けにくいと考えられます。
全国展開の大手チェーンやフランチャイズの教室であれば、大量に講師を確保する必要があるので、汎用的に使える専用ソフトの教材が必要なのはわかります。
ですが、個人でやっている教室が似たような学習を提供するのであれば「それなら、サービスサポートも手厚くて安心度の高い大手チェーンの教室で学んだ方がいいじゃん」と学ぶ側はなっちゃう気がします。(何のための個人教室?)
結果、①自作するはハードルが高く、②レンタルするだと大手と差別化できず淘汰されるので、個人教室は少ないのかと思います。
「学ぶ内容」以外で個人教室の良さを出すんだ!というのもわかりますが、やっぱり教室の一番大きな軸は「学ぶ内容」だと私は思ってしまいます。
【個人教室が少ない理由③】教材以外の準備も大変
個人教室がOPENするためには、教材がそろっているだけではできません。
具体的には以下のような準備が必要です。
・教室のコンセプト決め
「教室の理念」「教室の特徴」「学ぶ内容」などを決める必要があります。例えばエドグラの特徴は、「教員・プログラマー経験者が講師の、ホンモノのプログラミングで学べる教室」というようなものです。
・ホームページ作成
教室を知ってもらったり、体験会に申込んでもらうためにもHPの準備は欠かせません。
作成を依頼したとしても、載せる画像や文章の準備、ページ構成、全体のデザイン構成など、結構たくさん考える必要があります。
費用と時間がたくさんかかります。
・教室のロゴ作成
気に入るロゴを作りたければ、デザイナーからのたくさんの提案が要りますし、自分の求めているデザインも考えて伝えなければなりません。
ロゴだけでなくキャラクターデザインも必要かもしれません。
・資料作成
教室について必要な説明資料などを作成します。
何をどのようにどれくらい作る必要があるかの構想や計画を考えなければなりません。
・物品の用意
資料以外にも、ざっと次のようなものの用意が要ります。
教室で使うパソコン、マウス、電源コード、文房具、教室用タペストリー、教室看板、のぼり、収納ケース、郵送用封筒、除菌シート、教室用クリアファイル、プレゼント用ステッカーシール、席の仕切り板、合格ハンコ、USBメモリ、ネームシール、印刷機、各種ケーブル、名刺、ラミネート、進捗シート、その他いろいろ。
すぐに思いつく必要なものから、案外必要なこまごまとしたものまで買うべきものがあります。
・教室の場所を決める
上記すべてが用意できても、教室が無ければOPENできません。
「アクセスはよいか」「費用は高すぎないか」「周囲に学校はあるか」「教室環境はよいか」「Wifiはあるか」「駐車場・駐輪場はあるか」「周囲に競合のプログラミング教室は集まっていないか」などなど。
教室は一度決めると後戻りが難しいので綿密な計画が必要です。
・その他いろいろ
上記をメインとして、その他以下のようなさまざまな準備や運用が必要です。
「教室名を決める」「教室用電話番号の準備」「体験会の企画」「Googleビジネスアカウント作成」「月謝支払い方法を決める」「入会までの手順を考える」「入力フォームの作成」「経費の記録方法」「ブログ・SNSの準備」「個人情報の管理方法を決める」「定期的なHPの修正」「各メール文作成」「教材や資料などの管理方法を決める」「チラシ作成」「教室用ドメイン取得」「教室用パソコンのセットアップ」「教室カレンダー作成」「キャンペーン企画」「会員専用ページ作成」「公式LINE準備」「開業届準備」「学習プランと料金を決める」「経費と利益のシミュレーション」など。
教材作成でも同様ですが、「何を」「どのように」「どれだけ」準備するべきかを誰も決めてくれないので、個人教室を作る大きなハードルの一つになっていると思います。
私の場合、教材作成と同時並行の時期もありましたが、これらの準備にほぼ毎日休まず丸1年以上かかりました。
フランチャイズの教室での開業であれば、教室宣伝も含め、それら全ての仕組みを苦労せずに得ることができるので、必然と多くなるのだと思います。
【個人教室が少ない理由④】教室の宣伝が大変
上記すべての準備が終えられてOPENしたとしても、通う生徒がいないと教室は始まりません。
個人教室としてOPENするだけでも様々な準備が要りますが、それだけではスタート地点に立っただけというのが、また個人教室のハードルを上げています。
大手チェーンやフランチャイズの教室では、集客の仕組みがすでに用意されています。
宣伝のための大きな予算が組まれ、定期的なポスティングや街頭配布の実施、ネット集客が行われます。
春になると、学校の校門前で付録付きのチラシを配布業者を雇って大規模に配布を行えます。
ネットで検索するとホームページが必ず上位に表示されます。
検索結果だけでなく、Google広告でも頻繁に表示されます。
無料有料問わず幅広い比較サイトなどで掲載され、必ずランキング上位でオススメされています。
大手チェーン,フランチャイズでは、全国に何十何百件の教室があるので、大きな費用をかけたそれらの大規模な宣伝は、その同じネームブランドの何十何百の教室一つ一つのメリットになるので可能となります。
一方、個人教室の数は、少ないもしくは1教室であり、予算も少ないので、大規模な宣伝をすることはできません。
宣伝においては、個人教室は負け確です。
比較サイトなどで、オススメ教室ランキング外になるのも甘んじて受け入れましょう。
載せてもらえるだけで大健闘です。
宣伝が大手に負け確であるという想像は個人教室をはじめようと思った方にとって難しくないので、
「もし時間と労力をかけて個人教室の準備をしても、宣伝が上手くいかなかったらどうしよう…」
と考え、個人教室を始めるのを断念する人も多いでしょう。
とはいえ、見てくれる人が「0」というわけではありません。
自分の教室の提供する「学習内容」や「コンセプト」などを良いと思えば入ってくれますし、その自信が無いのであれば確かにそれはやるべきではないと思います。
それで個人教室が少ないのであれば仕方ありません。
さいごに
今回は個人教室が少ない理由を「4つ」に分けて述べました。
やりながら思ったんですが、
確かに理由を具体的に挙げてみることはできましたが、、
正直なところ、個人教室が少ない本質的な理由ってそもそも、
プログラミング学習を通して子どもたちに「この学び」を提供したいんだ!
という強い信念や情熱を持っていないから
だと思います。
その信念や情熱があれば、今回述べた「4つ」の理由がやめる理由にならないですしね。
私ですか?
持っています!!!!