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【本】誰しもが抱える街

「村上春樹氏の作品の中で、最も影響を受けた本は?」ときかれたら、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と答えると思います。今作は、それと関わりのある物語です。

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の何が、10代の私にそれほどインパクトがあったかというと、

個々人が必ず持っているのに、混沌としていて、脈絡のない無意識の世界。しかし、その主人公だけが、意識せずその無意識の世界を「編集」「体験」することができる力を持っている、というその世界観でした。

<私の中にある無意識の世界に降りられるとすれば、それはどんな場所なのか>
そのことは、気づけば、将来の夢よりずっと深く、長く考えることになり、今も時折心に浮かぶテーマになりました。

今回の作品では、その無意識の世界が、個人に属したものから一歩広がりを見せた回。感想は…まだうまく言葉にまとまらないのですが、私が生まれた年に出版されたという前作の世界が、今またこうして広がり、それに触れられたことを何より嬉しく思います。

生まれ育った場所が近いから…、その景色を身近に知る身として近しく作品を感じている面もあると思っていたのですが、どちらかというと、国籍まで関係なく「自分のことのように感じる」という読者が多いそうですね。

その観点で、前作の方を今度は英語で読んでみたいな。娘たちは、どちらをより身近に感じるんだろう。

よりたくさんの良書をお伝えできるように、頑張ります!