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【本】事実は小説より奇なり。原因がわからないまま、次々発症していく戦慄
旅行の時は、Kindleを何冊かダウンロードしておくのですが、そのうちの一冊。こちらは予想を超える展開に、ついつい引き込まれて、長距離フライトの疲れを減らしてくれました。
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1940年代アメリカで、結婚して家族になった二人。クリスチャンということや、生い立ちの影響もあって、周囲に止められつつも、12人の兄弟姉妹をもうけます。
自然豊かな土地でのびのびと過ごしながら、文化的なことにも触れる、理想的な子沢山一家のはずでしたが、長男が統合失調症を発症したことをきっかけに、次々と、、最終的には12人の子供うち半数が同じ病を患い、命を落とす者もでてきます。
時代はまだ、この病のメカニズムどころか、「環境(外的要因)」によるものか、「遺伝(内的要因)」によるかもわかっていない頃。警察を呼んで、家で暴れる子供を取り押さえてもらったり、非人道的なかたちで隔離したり、薬漬けにしたりするしかない、そんな頃。
偏見を向けられ、子供たちを助ける手立てもなく、家に隠しておこうとするも、その限界を超えていく…しかも、家には発症していない子供もいる(でも、発症するかもしれない)。ちょっと考えられないくらい凄惨な環境は、「自分だったらどうするか」と想像する余地さえないよう。間に、その原因を突き止めようとする活動がどのように行われたかという話も入り、この病気を取り巻く環境の過酷さがよく理解できるようになっています。
最後、親を看取り、発症しなかった兄弟が、発症した兄弟を助けようとするも、すごく葛藤があってというところもリアルで…久しぶりに、読み応えのあるノンフィクションを読みました。
子供ができてから、外見、性格、能力、嗜好、、ありとあらゆるところに、遺伝の影響を見ます。その尊さ、そして逃れられなさ。そいうものを考えたくなる一冊です。
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