【小6と読書】美味しい素材食べてる?
たまたま手に取る機会があって、そういえば読んでいなかったな、となった、農薬や殺虫剤を使わずに作った「奇跡のリンゴ」が実るまでの七転八倒の日々を綴ったエッセイ。
テレビ番組で聞きかじってはいましたが、年表を検めると、話の舞台は、1970,80年代のことなんですね。つまり、私の親世代か少し上。そう考えると、率直に、農薬や殺虫剤に頼らない農業をすることに、ここまで当事者とその家族が苦しまないといけない日本はちょっとおかしい…と感じました。
ざくっとまとめてしまって申し訳ないですが、苦節10年、借りられるお金は借り尽くし、同業者から爪弾きにされ、あまりの苦しさに自死する寸前まで行ってしまいます。他にも、内職としてキャバレーで働いている最中にヤクザにぼこぼこにされたりもしていて、まぁ、よく生きていましたね、という感じ。自分の親がこの苦しみを感じていたら?私の給食費も払ってもらえない状況だったなら…?
ご本人もなかなか変わった人で、変わっていたからやれた、という面はあるにしても、やっていることは立派に研究だし、大学の研究室に入って補助金もらいながらやるようなことなんじゃないかなと。
公害病を経験した日本なら、農薬や殺虫剤がいずれ何らかの影響を及ぼすことはわかるはず。であれば、それを減らすためにどうすればいいか、という方向にもっと国として動くべきだった。
と、過去形で終わらないのが、闇の深さ。何が足りない?何が多いのだろう?
昨夏、フランスで家庭料理をよばれる機会があり、びっくりしたのは、その素材のおいしさ。乳製品はもとより、粉類も、チキンひとつとっても味がこく、いつも食べているのと全然違って。
フランスの農業、酪農に詳しいわけでもなんでもないですが、やっぱり産業として大事にされていると、それは食品の素材にそのままでるのではないかなと感じた一冊でした。