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【本】女の人の肌の内側

ちょっと久しぶりに、辻村深月さんの小説を読みました。


小さい頃から親友だった幼馴染の家は農家で、家族仲がとてもよく、主人公の彼女自身も、自分の母にない優しさやおおらかさに度々救われます。けれど、成長するにつれて本音で言えないことが多くなり、疎遠になっていたところに、その幼馴染が母親を殺し、失踪したことを知ります。なぜ彼女が?そんなことするような子じゃないのに。


推理小説ではあるのですが、読後、放心するくらい、たくさんの女の人の心の中を覗く物語。前半は少し重たく感じたペースも、後半ぐんぐんとあがっていき、誰もが建前を崩した先の本音をそのままぶつけてくるようになります。

それぞれが、どんな立ち位置で、どんな価値観で、友達のふりをしたり友達を心配したりしながら、母親と疎ましくおもったり、母親に甘えたり…が洪水のように溢れかえっていて、読んでいるこちらも無傷ではいられない。

お行儀よく生活していれば、蓋をして、みないようにしている感情のあれこれ。それをよくまあここまで引きずり出したな…、というところが、辻村氏らしい作品でした。

その恥ずかしいほどの自意識とコンプレックスといえば、私の中では林真理子さんの『葡萄が目にしみる』なのですが、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』の方が登場人物が多く、視点が多角的である分、女性が肌の内側に隠しているものを、より怖く、より重く、より鋭く思えるようになっているのではないでしょうか。


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バイリンガル育児中、2児ママの本棚
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