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【本】全てがうまくいかないような気がするとき

小学生から中学生に上がる春休みの、ある女の子の経験を綴った物語。

最近読んだ本の中では圧倒的に主人公の年齢が若いお話ですが、それが違和感なく胸に迫ってくる不思議な小説。実際、時折出てくる母親よりもずっとずっと、子供側の視点にいました。

私は、男の子にも男性にもなったことがないので、これがみんなに起こりうることなのかわからないのですが、一つの歯車が噛み合わなくなるとずるずると不調の波に引きずられることって、これまでにも断続的にあった気がします。

ピアノを習い、勉強態度も真面目で、弟の面倒もよくみて、祖父母にも可愛がられて。そんな女の子が、祖母を看取り、ピアノをやめ、受験に失敗して、お隣さんとの確執や両親の仲が冷えぴりぴりする空気を感じ、前髪も自分で切って変になって、夢でもうなされて、体調もよくなくて…うまく自分だけでは軌道修正できない感覚。でも誰が救ってくれるかもわからなくて、正直どうしていいかわからない。そんなとき。

少しずつ、周りの人が助けてくれる存在であることに気づき、最終的には、ここを逃したらきっと戻れない、というタイミングを必死に未来を掴んでたぐり寄せた彼女。

そもそも、女の子って不確かなもの。こういう物語を書ける人はそう多くないなぁと、印象に残った一冊です。


よりたくさんの良書をお伝えできるように、頑張ります!