論破されてみた件、その1
2024年2月23日の夜。ぼくは疲れ切っていた。テレビ局が用意してくれたタクシーで、ぼくは友人宅に向かっていた。高級ミニバンのアルファードの乗り心地は最高で、リクライニングを倒してそのまま眠りたかった。けれども、いろんな感情が渦巻いて眠れそうになかった。ムカつく、悲しい、くやしい……。
論破された、論破されたらしい……ぼくはネットテレビ番組「アベマプライム」に出演したところだった。時事問題を討論する番組で、その日のMCは2ちゃんねる創設者のひろゆきさんだった。朝日新聞に掲載されたインタビューが番組プロデューサーの目にとまり、「ハック」や「チート」の話をするために、ぼくはゲストとして呼ばれたのだ。
ぼくはインタビューでこんなことを話していた。ひろゆきさんは「やればできる」という努力神話を批判しています。努力できるかどうかも才能で決まる、と。しかも、そのうえ、自分の本は編集者やライターが書いたもので自分はなにも努力していないと公言してはばかりません。ひろゆきさんが人気なのは、ハックやチート、コスパを体現するキャラだからでしょう、と。
絶対、ひろゆき氏に論破されてオモチャにされる!!! 出演依頼がきたとき、まずそう思った。残念ながら、ぼくはトークが上手くない。メディアに積極的に出たいタイプでもない。正直なところ、お断りしようかな、と考えた。けれども、そのいっぽうで、論破されれば「オイシイ」な、という気持ちもあった。いい原稿のネタになるぞ、と出演を決めたのだ(そして、実際にこんなふうにネタにさせていただいている)。
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