綿野恵太
現在執筆中の本の草稿を掲載していきます。 悪意といったテーマになるかな、と。 目標は月2回以上の更新です。また、過去に執筆したエッセイや論考を掲載予定。 (※宣伝や読者獲得のため、過去の記事を期間限定で無料公開する場合がございます。ご了承くださいませ)
近年、からかいの「有害性」を指摘するひとが多い。たしかにインターネットは嘲笑に満ちているし、女性などマイノリティをあざわらう投稿が多い。かつての2ちゃんねるのユーザーはその代表格だ。フェミニストをはじめ多くの論者が、江原由美子氏の「からかいの政治学」を引っ張ってきて「からかいや嘲笑をやめよ、誠実で真面目な議論をすべきだ」と主張している。けれども、フェミニズムの歴史を振り返ってみても、からかいや嘲笑も政治的な武器だったとぼくは思うのだ。
・今後の配信予定 11/2(土)20時〜 【ゲスト回#4】ベンジャミン・クリッツァーさんにきく、モヤモヤする弱者男性論 11/8(金)21時〜 【ゲスト回】鳥羽和久さんに高校中退者が「学び」を学ぶ 11/15(金)21時〜 謎すぎる新雑誌『neoコーキョー』に迫る!(ゲスト松谷書房代表・辻本達也さん) これまでの配信(アーカイブで視聴可能です) 【ゲスト回#1】小峰ひずみ著『悪口論』を読む 【木澤佐登志さんコメント降臨決定!】『終わるまではすべてが永遠』を読む。
9月からシラスというプラットフォームで配信を始めています。配信内容としては読書会、雑談、イベントの報告会などなどです。番組単体でも視聴可能ですが、月額購読の方がお得ですので、ぜひご検討ください。 過去のアーカイブをリスト的に見れるようにこちらのページで順次紹介していきます。気になったものがあれば、そこからご覧ください。 また、たくさんのゲストをお招きしてお話を伺っています。ゲスト回の目次はこちらから↓ 何を見ればいいかわからんという方は特に評判の良かったこちらの回をご覧
出版社で働いていたころ、新宿の中井に住んでいた。アパートの近くにうなぎの串焼きを出す「くりから」という店によく飲みに行った。うなぎの身を竹串に巻き付けて焼いたものを「くりから焼き」という。不動明王が右手に持つ、火炎と化した龍が絡みついた「倶利伽羅剣」に由来するらしい。 キモやカワといったいろんな部位があるが、ヒレが好きだった。うなぎの背鰭をニラに巻いている。香ばしく焼かれたヒレをかじりつくと、ニラがとろっと出てくる。短冊状に切ったうなぎの身を焼き上げたのも好きだ。黒
定期購読のマガジン更新が滞り、申し訳ないです。というのも、最近、シラスさんを間借りして、動画配信をすることになったからです。その準備がいろいろと大変で……。もしよろしければ、ご覧ください。 本日、9/17(火)21時から、『悪口論』を刊行された批評家小峰ひずみさんをゲストにお招きして配信します。アーカイブでも視聴できるのでよろしくお願いいします。 では、「「無敵の人」について考える、その2」をどうぞ! 商売は身内ばかりと取引しても儲からない。縁もゆかりもない人を相手
「ひろゆきに論破されてみた件」(新潮9月号)で書いてないことがあった。彼が発案したと言われる「無敵の人」についてである。 「無敵の人」は無差別殺傷事件が起きるたびに話題になるネットスラングだ。ひろゆき氏によれば、「無敵の人」とは「職や財産、社会的信用がないため、刑罰を受けることをリスクだと思わずに、犯罪に手を染めてしまう人」という意味だ(『シン・未来予測』マガジンハウス、2021年、p.107)。
noteの定期購読でぼちぼち書いていたひろゆき論を新潮9月号に寄稿しています。マガジンの更新が滞っていた理由はこれです……。申し訳ないです。noteの記事の内容はそれなりに入っていますが、最近話題の石丸構文とかも論じています。けっこう長くなってしまって、2万5000字ぐらいある感じ。ここまでひろゆきの論破やハック戦略を論じた論考はほかにないはず。今後noteのマガジンでは今回の論考で書ききれなかったことなども論じていこうかと思います。 ぜひお手に取ってみてください。
noteの定期購読している方、今月は更新一回で申し訳ないです……(理由は後日説明します)。
最近、新聞にコメントをつける仕事をしてて、記事エモくない?と感じてたんですが、そのものズバリご指摘された西田亮介さんとお話しします。 2024年7月22日(月)19時〜atツバメコーヒー(新潟県燕市)です。遠方で来られない方はアーカイブ視聴もあるそうです。よろしくです
(つづき) 数年前、ひろゆき氏の発言がネットで話題になっていた。どうやら「猫の寿命ってだいたい5、6年なんですよ」とひろゆき氏がいったらしく、「もっと長生きするぞ」と2ちゃんねらーに嗤われていた。たしかに猫の平均寿命は10歳を超える。ペットアレルギー持ちらしいひろゆき氏はこれまで猫と接する機会がなかったか。野良猫の平均寿命は3〜5歳とも言われているので、ほぼ放し飼いで飼われた猫にしか接したことがないのだろう。 ひろゆき氏はけっこう適当なことを言っている。いくら事実ベー
『表現者クライテリオン』2024年7月号、5月号に與那覇潤さんの新連載「在野の知を歩く」にゲストとして出ています。 よろしければご覧ください。 ひろゆきさんに論破されたその日、ぼくは元歴史学者の與那覇潤さんと対談していた。與那覇さんの新著『危機のいま古典をよむ』(而立書房、2024)の出版記念イベントにゲストとして呼ばれたのだ(「古典を読むのは逆張りですか」@ブックファースト新宿店)。対談をするのは実は3回目、そのたびに思うのは、この人めっちゃ話うまいなあ、というこ
(前々回、前回からのつづき) ひろゆきさんからは予想外の言葉が飛んでくる。その言葉を理解するには、ちょっと時間がかかる。さまざまな意見が飛び交う討論番組でこのタイムロスは致命的だ。はたからみれば、反論できずに黙ってしまった=論破されたように見えてしまう。 だからといって、ひろゆきさんがめちゃくちゃなことを言っているわけではない。ここが大切なポイントだ。ぼくの言葉をまったく聞いていないわけではない。たしかにぼくの言葉をそういうふうにとらえれば、そういうふうに言えないこと
(前回のつづき) あ、ひろゆきさんはぼくの話をぜんぜん聞いてない。何度か言葉を交わして、気がついた。正確にいうと、ぼくの言葉は耳に届いている。けれども、単に届いているだけ。どんな事情で、どんな意図で、どんな思いで、どんな文脈で、どんな背景で、その言葉を使っているのか。相手を理解しようとする気配がまったくない。他人の言葉に耳を傾けようとは絶対にしないのだ。
2024年2月23日の夜。ぼくは疲れ切っていた。テレビ局が用意してくれたタクシーで、ぼくは友人宅に向かっていた。高級ミニバンのアルファードの乗り心地は最高で、リクライニングを倒してそのまま眠りたかった。けれども、いろんな感情が渦巻いて眠れそうになかった。ムカつく、悲しい、くやしい……。 論破された、論破されたらしい……ぼくはネットテレビ番組「アベマプライム」に出演したところだった。時事問題を討論する番組で、その日のMCは2ちゃんねる創設者のひろゆきさんだった。朝日新聞に
5月24日に刊行される『アステイオン』100号に「物流倉庫のバイトのあとに『柔らかい個人主義の誕生』を読む」というエッセイを寄稿しています。文字通り末席に加えていただいております。あいうえお順的に。 よろしくお願いたします。 エッセイにも書いたのだけど、物流倉庫でバイトしている。注文に合わせて在庫の商品を集める「ピッキング」という作業である。働き始めて一週間ぐらい経ってから気づいたのだが、まったく会話がないのだ。同じフロアで十数人の人間が働いているにもかかわら
コロナ禍のころ、フランスの思想家ジャック・アタリの「合理的利他主義」が注目された。合理的利他主義とは、利他主義が自分の利益になる合理的な選択である、という考え方だ。将来の世代といった他人のために行動すれば、長期的に見ると自分に利益をもたらす。他人にした親切は巡りめぐって自分に戻ってくる。いうなければ、「情けは人のためならず」である。 アタリ氏によれば、いまの資本主義社会では「自分さえ良ければよい」という利己主義が蔓延している。そのために、貧困や格差、気候変動や戦争といっ