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秋篠宮に皇統を移してはならない

秋篠宮に皇統を移してはならない


 安定的な皇位継承のあり方をめぐる議論が、2024年5月から立法府(衆参両院議長と各党代表者)を中心に進められている。政府の有識者会議が国会提出した女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つが中心となっている。

 しかしこれらの議論は最初から今上天皇から弟君の秋篠宮に皇統を移すことが「大前提」となっている。今上天皇には長女の愛子内親王しかおられず、秋篠宮には長男の悠仁親王がおられるからである。現行の皇室典範は女性天皇を認めていない。

 ここで皇統とは皇位が直系に継承されている皇室の家系のことで、皇位が直系以外(例えば兄弟間)で継承されると、そこからまた直系に継承されていくため皇統が移ることになる。皇統は一度移ると元に戻らず、元の皇統はそのまま断絶してしまうことも多い。

 仮に秋篠宮が今上天皇の次の天皇となることを辞退されても、悠仁親王が自動的に次の天皇となれば秋篠宮に皇統が移ることに変わりはない、また議論されている安定的な皇位継承も「それ以降」の議論でしかない。

 岸田首相は自ら主導して「この方向」で国会の合意形成を進める意欲を見せているが、これは岸田首相お得意の「問題のすり替え」でしかない。なぜなら安定的な皇位継承のためなら、何も秋篠宮に皇統を移す必要はないからである。岸田首相が自ら積極的に動くときは必ず「外部の大きな圧力」が働いている。

 しかし悠仁親王も間もなく成人されるため、このままだと将来的に悠仁親王が天皇になることが(つまり秋篠宮に皇統が移ることが)確定してしまう。そうなるともうどうにもならない。

 秋篠宮に皇統を移してはならない明確な理由がある。それをまず法律論、次いで形式論、そして現実論で順番に解説していく。 


その1 まず法律論


 小泉政権時代の2004~5年にかけて当時の有識者会議では、女性天皇さらには女系天皇を容認する方向の報告書が国会に提出されていた。当時は2001年12月1日に誕生された愛子内親王が将来的に皇位を継承される方向で皇室典範の改正等が議論されていたことになる。


 それがいつ、どこで消えたのか?

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