見出し画像

ナンバ歩きの練習(2)

小股歩き

ナンバ歩き、江戸時代の歩き方の特徴の一つは
小股で歩くこと。

着物を着ているとき、大股で歩くと着物の裾がはだけて大変なことになります。
そのため江戸時代は小股で歩くことが普通でした。
そして、つま先から地面に着くつま先歩きでした。

その練習法をご紹介します。

*前回の記事の「つま先立ち」の練習をして、ある程度つま先立ちに慣れてからお試しください

練習1 まずは足踏みから

膝を曲げてつま先重心で足踏み

膝を曲げてつま先重心で立って、その場で足踏みを練習します。
かかとから足を上げて、つま先を1センチくらい上げます。
下ろすときは、足指の付け根から床に着けて、かかとが床に触れるまで下ろします。

この足踏みを、ゆっくり10回ほどやってみてください。

始めはふらつきやすいので、近くに手すりや柱のようなつかまれる場所があるところで練習してください。


練習2 小股歩き

*最初は一歩だけ歩く練習です。*

この足踏みに慣れてきたら、いよいよ足を前に出す練習です。

小股歩き

・①の膝を曲げてつま先重心で立った状態から
・②かかとから足を上げて前に出す
・③10cmほど前につま先から足を下ろし
・④下ろすと同時に前に出した足のつま先(足指付け根あたり)に
 重心を乗せます。
 膝は曲げたままです。
 その時、後ろになった足のかかとが上がります。

この動きを、一歩だけ試してみてください。

かかとは床についてもOKですが、
膝を曲げてつま先(足指の付け根)で体重を支えるようにしてください。
歩幅は狭く歩くのがポイントです。

動画は下記をご参照ください。
https://twitter.com/edoninjarun/status/1632170819249115137?s=46&t=p6Om3z7ug3m2-qjH-uCxpg

(外部リンクに移動します。)

練習3 現代歩きとの比較

小股歩きに少し慣れてきたら、
今度は現代の歩き方の様に
大股で膝をまっすぐ伸ばして
かかとから地面に着いて一歩だけ歩いてみてください。

現代の かかと歩き

この時、かかとと膝にかかる衝撃を、
先のつま先歩きと比べてみてください。

大股でかかとから地面に着く現代の歩き方と比べて
小股でつま先から地面に着く江戸時代の歩き方・ナンバ歩きの方が
膝への衝撃が少なかったのではないでしょうか。


かかと着地は衝撃が大きい
つま先着地は衝撃を吸収する

足の骨を見てみると、かかとは大きな骨(踵骨)で、くるぶしとまっすぐ繋がっています。一方足指の骨は4本の骨がアーチ状につながっていますし、膝までの間に多くの関節があります。そのため、かかと着地でかかった衝撃は、ほぼそのままくるぶしとその先の膝に伝わりますが、つま先着地でかかった衝撃は、足指のアーチで、そして関節で和らげられます。

そして、現代の歩き方のように膝が伸びていると、着地の衝撃は膝を直撃します。
江戸時代の歩き方の様に膝が曲がっていれば、衝撃が膝の曲がりで逃がされます。


歩きに重力を利用する


小股歩きには、もう一つメリットがあります。
それは、歩きに重力を使えること。

こちらをご覧ください。

斜めに棒を持つ

このように棒を手で持って斜めに立てます。
手を放すと、棒は傾いた方に倒れます。

現代の歩き方では、足を身体の前に大きく振り出します。
そうすると足は後ろに傾いた状態で地面に着きます。
そのため足には後ろ向きの力がかかってきます。
この状態で足の力を抜くと、重力で身体は後ろに倒れます。
前に進むには、自分の筋力で前に動かさなくてはいけません。

現代歩きでは後ろに倒れる力が働く

一方、江戸時代の歩き方・ナンバ歩きでは、
小股でつま先着地をするため、すねが前に傾いた状態になります。
そのため、足には前向きの力がかかってきます。

ナンバ歩きでは前に倒れる力が働く

この状態で足の力を抜くと、重力で身体は前へ倒れます。
この力を利用すれば、より効率よく前に進むことが出来ます。

このように、つま先着地して小股で歩くと、
膝に優しく、
しかも自分の筋力だけでなく重力も利用して効率よく歩くことが出来ます。


最初は一歩だけ歩く練習を

ナンバ歩きの動きは、普段使わない筋肉を使うので、慣れないうちにたくさん練習すると思わぬケガにつながります。
最初は一歩だけ歩くところから始め、両足ともその動きになれたら、2歩、3歩と徐々に歩数を増やしていただけたら、と思います。

電車も自動車もなく
どこへ行くにも歩くしかなかった江戸時代
身体に優しい効率の良い歩き方について、その究極の進化があった。
私はそう思っています。

いいなと思ったら応援しよう!